2020年 RENOVATION ARCHITECTURE
工事は見積書に基づいた請負契約に即して実施されます。しかしながら新築に比べて改修工事においては工事の進行に伴って不測の事態が発生することが少なからずあり、そうなると最終の工事金額が当初の契約金額から変わることになります。
例えば、外壁の改修工事について考えます。新築後10年以上経過した段階で外壁の経年劣化状況を調査し、これにしかるべき改修を加えるということがよくあります。その場合、まず足場を設置して調査を行い、その結果に基づいて改修計画を策定することになります。
足場の設置にはそれなりの費用がかかりますから、実際にお金をかけて工事に着手した後でなければ改修工事の費用の全容が確定しないわけです。
工事会社は足場を設置したあとの調査結果を想定した仮の見積書を提示してきます。場合によっては調査結果を複数パターン想定して何通りかの見積書が示されることになります。それにも関わらず、十分な説明がないままあたかも確定したような見積しか出てこない工事会社は要注意ということになります。
このほかに、諸官庁と協議しないと設計内容が確定しないもの、着工してみないとわからない項目(隠蔽部内の確認、足場架設後に確認等)についても、あらかじめその可能性について説明をする必要があります。
着工後の施主要望に基づく追加変更精算をスムーズに行うためには、まず当初の見積内容が明確でそれが施主と共有されていることが普通となります。
これは新築においても同じことですが、工場倉庫に関する工事ではいわゆる性能発注となるケースが多くあります。性能発注とは、施主(発注者)が目的や機能を提示し工事会社がそれを実現する方法を立案して見積し、それをもとに工事を行うというものです。
例えば、「この部屋でこのような作業をしたいので室温は何度にしてほしい」という要求があります。この場合、工事会社側で検討してその要求性能を保証することが求められます。
工場や特殊な機能を有した倉庫などの改修は、このような性能発注に耐えられる工事会社を選定する必要があります。