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倉庫・工場のコンクリート床の補修方法と強度回復工事のすすめ

2023年 RENOVATION

倉庫・工場のコンクリート床の補修方法と強度回復工事のすすめ

倉庫・工場のコンクリート床の補修方法と強度回復工事のすすめ

 

倉庫や工場のコンクリート床の耐用年数は、初期条件・環境条件・使用条件などによって大きく異なります。例えば、化学薬品を取り扱う現場やフォークリフトなどの車両が頻繁に行き来するような環境である倉庫・工場は、それ以外の環境と比べてコンクリートの経年劣化が進みやすいです。

コンクリート床は、フォークリフトなどの車両の走行、従業員の歩行など、日々の使用によりひび割れなどの劣化が生じています。コンクリート床にひび割れを発見した際、軽微なひび割れだからと放置してしまうと、徐々にひび割れが拡大して建物自体の劣化に繋がってしまう恐れがあります。さらに、床面のひび割れが拡大すると、従業員の転倒リスクを高めるなど、施設内での事故発生に繋がる危険もあります。したがって、コンクリート床の劣化を発見した時には、出来るだけ早く補修する必要があります。

当記事では、倉庫や工場のコンクリート床について、ひび割れなどの問題が生じる原因とそれを補修する方法について解説します。

 

コンクリート床が劣化する原因

環境条件や使用条件などにより、コンクリートの劣化速度は異なりますが、どのような倉庫・工場でも、知らないうちに床にひび割れや欠け、塗装の剥がれなどの劣化が生じるようになります。

ここでは、コンクリート床の主な劣化原因をご紹介します。

 

乾燥収縮

コンクリートは、内部に水分を多く含んでいるため、水分が蒸発して乾燥が進むことでコンクリートが収縮し、ひび割れが発生することがあります。

乾燥収縮によるひび割れは、コンクリートのひび割れ原因として、最も多いとも言われています。

 

中性化

強アルカリ性であるコンクリートは、酸性の物質に触れ続けると、中性化を起こし腐食します。例えば、食品工場などでは、動植物油脂を使用する機会が多く、動植物油脂が出す酸によりコンクリート床が中性化を起こし腐食するといったことが考えられます。

コンクリートの中性化が進行すると、コンクリート内部の鉄筋がさびて膨張し、コンクリートのひび割れがさらに進行し、建物全体の劣化にまで発展する恐れがあるので、早期に対処する必要があります。

 

日々の使用

倉庫や工場などでは、重量物の運搬のため、フォークリフトなどの車両が頻繁に走行します。そのため、車両の走行など日々の利用による振動の影響を受け、ひび割れが発生することがあります。

 

温度変化

コンクリートは、高温で膨張する、低温で収縮するという性質を持っています。そのため、急激に気温が低下すると、ひび割れなどの劣化が生じます。

 

摩擦

倉庫や工場のコンクリート床は、人の歩行、フォークリフトなどの車両の走行による摩擦によっても劣化します。コンクリート表面のすりへりを放置すると、鋼材の露出や腐食・断面欠損にまで進展する恐れがあります。

 

その他のコンクリート劣化原因

上記以外にも、建設時点でコンクリートの厚みや強度が不足しているといった施工不良や塩化カルシウムとの複合的劣化、凍害など、コンクリートの劣化にはさまざまな原因が考えられます。倉庫や工場のコンクリート床に、小さなひび割れを見つけた時には、原因を早期に特定するためにも、倉庫や工場の施工に詳しい建設会社に相談するのがおすすめです。

 

コンクリート床の補修方法

コンクリート床にできた小さなひび割れ程度であれば、放置してしまいがちです。しかし、軽微なひび割れでも放置するのではなく、出来るだけ早く対処しましょう。

コンクリート床のひび割れは、美観を損なうという問題以外にも、そこから水や空気が入り込むことで、急速にひび割れが拡大し、建物全体の強度低下につながる恐れがあります。さらに、ひび割れに小さなゴミや埃が溜まり、異物混入の原因になる恐れもあります。

ここでは、コンクリート床の代表的な補修方法をご紹介します。なお、床の劣化度合いによって選ばれる補修方法が変わります。

 

塗床工事

コンクリートの上に高強度の仕上げ材で保護層を作り、コンクリート床をコーティングする方法です。コンクリート表面を保護する被覆材により、コンクリートそのものの劣化を防ぐのが目的です。

もともと塗装が施されていた床の補修については、この補修方法が有効です。なお、改修工事を行う際は、既存の塗膜層(防水層)を撤去する必要があります。

関連:工場・倉庫コンクリート床の耐久性と補強方法

 

含浸工法

コンクリート床に生じたひび割れに樹脂系やセメント系の接着剤をしみこませることで、コンクリートに生じた隙間を埋める工法です。

コンクリートを打ち直すこともなく、コンクリートの防水性や耐久性など、強度回復が見込める補修方法です。

 

充てん工法

コンクリート床に、幅0.5mm以上の大きなひび割れが生じている場合、充てん工法と呼ばれる補修方法が有効です。

充てん工法は、コンクリート床に生じているひび割れに沿って、コンクリート表面をU字またはV字にカットします。そしてそこに、シーリング剤やポリマーセメントモルタルなどの補修材を充てんするという方法です。

 

コンクリート打ち直し

ひび割れの程度が重篤な場合、ひび割れたコンクリートを撤去し、新たにコンクリートを打ち直す補修方法が選ばれます。

部分的にコンクリートの打ち直しを行うことも可能ですが、大規模に行う場合は、既存コンクリートの撤去に費用がかかる上に、業務を止める必要がある点に注意しましょう。

 

まとめ

倉庫・工場のコンクリート床を補修することは、床のさらなる劣化を防ぐだけでなく、従業員の転倒防止や運搬する資材や品物の落下・破損防止にも効果的です。また、摩擦により劣化した床を放置すると、粉塵が施設内に舞い散ることになるため、異物混入や機械の故障リスク増大など、さまざまな問題を引き起こします。適切なタイミングでコンクリート床の補修を行うことで、従業員が安全に効率よく働けるだけでなく、倉庫・工場内で取り扱う製品の品質・衛生管理にもつながります。

コンクリート床に生じた小さな亀裂については、それを認識しながら放置する方が多いのですが、早期に補修を行うことで、さらなる劣化を防止するだけでなく、コンクリート床の強度を回復させることも可能です。

 

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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