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工場・倉庫コンクリート床の耐久性と補強方法

2023年 RENOVATION

工場・倉庫コンクリート床の耐久性と補強方法

工場・倉庫コンクリート床

 

工場や倉庫は、重量のある大型機械が設置されたり、人やフォークリフトなどの車両も頻繁に行き来することから、他の建築物よりも床が傷つきやすいため、コンクリートが起用されていることが多いです。

しかし、築年数が経過した工場や倉庫などでは、コンクリート床の状態が悪くなっているのに、補修などが行われず放置されているような場合も少なくありません。工場や倉庫などにとって、床の状態が悪いまま放っておく事には、さまざまなデメリットがあります。

そこで当記事では、工場や倉庫などの大型施設でよく見かけるコンクリート床について、床材の耐久性に関する知識やメンテナンスについて解説します。

 

コンクリート床の耐久性に関わる特徴について

工場や倉庫など、大規模施設の場合、コンクリート床にグリーンやグレーで塗床(防塵塗装)が施されているのをよく見かけると思います。もちろん、施設によっては、塗装が施されることなく、コンクリート素地のまま運用されている場合もありますが、ほとんどの工場や倉庫では塗床が施工されます。

 

コンクリート床の耐久性に関わるポイント

工場や倉庫などの大規模施設で採用されることが多いコンクリート床は、以下のような特徴を持っています。

  • コンクリート床は圧縮強度が強い

    倉庫や工場などでは、重い荷物を大量に保管したり、大型機械を設置する、フォークリフトなどの車両が頻繁に行き来するなど、強い衝撃や摩擦による影響を受け続けます。コンクリート床は、圧縮強度に優れているという特徴があることから、工場や倉庫で採用されることが多いのです。

  • 引張強度は弱い

    コンクリート床は、圧縮強度に優れているという特徴がある反面、引張強度(横から引っ張られる力)は弱いとされています。実際に、コンクリートむき出しで長年使用された床などには、表面にひび割れが多く入っているのを見かけたことがあるのではないでしょうか。したがって、コンクリートの引っ張りに対する弱点を補強し、ひび割れを防止するため、鉄筋を入れて引張強度を高めようとします。

  • 摩擦によりダメージを受ける

    工場や倉庫などでは、人の歩行、フォークリフトなどの車両の走行により、床表面が摩擦によって削れてしまうなどの問題が生じるケースがあります。床表面が削れてしまうと、粉塵が室内を舞うことで製品への異物混入や汚れの原因となる可能性や人がつまずきケガをする可能性があります。

  • 酸や動植物油脂に弱い

    コンクリートは強アルカリ性ですので、酸性の物質に弱いです。実際に、酸性の物質に触れ続けると、中性化を起こし腐食します。また、食品工場などでは動植物油脂が使用される機会が多いですが、実は動植物油脂は酸を出すので、コンクリート床に付着した状態で放置すると、腐食することがあります。実際に、築年数が経過した食品工場では、動植物油脂などの影響でコンクリートが侵食され、床に多数の穴があることも珍しくありません。

 

コンクリートを劣化から守るため塗床材が使用される

コンクリート床にグリーンやグレーで塗床(防塵塗装)を行うのはコンクリート床の弱点を補強する目的があります。

  • 圧縮強度について

    上述の通り、コンクリート床はそれ自体で圧縮強度が強いという特徴を持っていますが、塗床材の中でもエポキシ樹脂の厚膜は、非常に高い圧縮強度を誇っていますので、塗床施工でさらに丈夫な床を実現することができます。

  • 引張強度について

    コンクリートは、引張強度が低いという弱点を持っています。この弱点を解消するために、鉄筋を入れたり、コンクリート打設時に一定間隔で伸縮目地を入れて、コンクリートの乾燥収縮をそこで吸収したりする対策が施されますが、塗床材もこういったコンクリートの弱点を補強することができます。塗床材を塗ることで、伸縮目地の補強ができ、小さなひび割れ程度であれば、表に出なくなるというメリットがあります。

  • 摩耗について

    塗床材の中には、コンクリートよりも耐摩耗性が高い材料があり、施設の床を摩耗から保護してくれます。そうすることで、コンクリート床そのものの寿命を延ばすことができます。

  • 酸や動植物油脂について

    コンクリートは、酸や動植物油脂に触れた部分は、腐食が進みます。適切な対処を行わず放置してしまうと、表面に砂利が頭を出すまで侵食されることもあります。塗床材は、耐薬品性(耐酸性も含む)を有するものがあり、酸や動植物油脂と接触しても腐食しないので、コンクリートの早期腐食から保護します。

 

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コンクリート床を塗床材で覆うメリット

コンクリート床の劣化を防ぎ強化する以外にも以下のようなメリットがあります。

  • 異物混入防止につながる

    さまざまな製品の製造・保管を担う工場や倉庫では、微細なホコリが製品の品質低下や異物混入の原因になります。適切な床の補強は、床面からの発塵を防ぐことに繋がり、異物混入対策としても有効です。

  • 施設の清掃が容易になる

    工場や倉庫の特性に合わせた塗料を採用することで、日々の清掃が格段に楽になるというメリットが得られます。例えば、コンクリートむき出しの床である場合、液体が染み込んでしまいますので、洗浄してもシミなどが残ってしまいます。耐水性のある塗料を採用することで、液体が染み込むことを防ぎ、すぐに拭き取ることができるようになります。

  • 安全性能向上

    フォークリフトなど、重量のある車両が頻繁に行き来する施設では、摩擦によって床に大きな凹凸が生じてしまう可能性があります。そして、こういった凹凸は、従業員が躓いて怪我をするといった事故を招く恐れがあります。床塗料の中には、耐摩耗性が非常に高い物もありますので、適切な塗料を選ぶことで従業員が転倒するような床の劣化を防ぐことができ、施設の安全性が向上します。

 

まとめ

今回は、工場や倉庫で採用されることが多いコンクリート床について解説しました。

コンクリートは、ひび割れや摩擦による摩耗など、耐久性の面で弱点があります。そして、コンクリートの弱点を保護するために、表面に塗装が施されています。

コンクリート床の塗装に関しては、外壁や屋根と同じく、塗料そのものに耐用年数が定められていますので、定期的な補修も欠かすことができません。

なお、コンクリート床の補修を適切なタイミングで行うことは、さまざまなメリットもありますので、そろそろ耐用年数を超えてしまうといった場合は早めにご相談ください。

 

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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