食品工場・倉庫建設設計施工の三和建設株式会社

INFORMATION

お役立ち情報

工場の床塗装の種類と特徴について。塗装を長持ちさせるポイントもご紹介

2022年 RENOVATION

工場の床塗装の種類と特徴について。塗装を長持ちさせるポイントもご紹介

 

今回は、工場の床をできるだけ長く良い状態で保つためのポイントについてご紹介します。

 

工場で勤務している方でも、工場の床の状態などあまり気にすることはないかと思います。ただ、大きな機械が動いたり、重量物を取り扱う機会が多い工場は、皆さんが考えている以上に床が傷ついてしまう可能性が高いです。実際に、長年稼働している工場では、いつの間にか床材が劣化して、そこら中にひび割れや凹凸が生じてしまい、工場の機能や美観を大きく損ねているケースが見受けられます。

 

そして、工場床の劣化に関しては、美観が壊れてしまうといった単純な問題が生じるだけでなく、工場の生産性の低下や労働災害発生の確率を高めてしまうなど、非常に大きな問題に発展する可能性があります。そこでこの記事では、工場の床を綺麗に保たなければならない理由と、具体的な手段についてご紹介します。

 

▼工場の床塗装については以下の記事もご覧ください。
工場の床塗装の必要性と定期的にメンテナンスを行うメリットをご紹介

 

工場床を良い状態で保つべき理由

それではまず、工場の床について、出来るだけ良い状態を保った方が良い理由についていくつかのポイントをご紹介していきましょう。 工場などの生産施設に限りませんが、床が多少劣化したとしても、特段不都合に感じる場面は少ないことから、外壁や屋根などと比較しても、床のメンテナンスは先延ばしにされてしまっているケースが多いように思えます。

 

しかし実は、工場の床の状態は、見た目の綺麗さだけではなく、工場の生産性や安全性など、幅広い面に影響を与えますので、適切なタイミングでメンテナンスすべきものです。ここでは、工場の床について、長く良い状態を保つべき理由をいくつかご紹介します。

 

 

①安全な作業環境の維持

一つ目のポイントは、工場内で作業する従業員の安全を守るという点です。

 

工場の床を、適切なタイミングでメンテナンスすることで床面にひび割れや凹凸などが生じにくく、従業員が足を引っかけて転倒してしまうという事故などを防ぐことができるでしょう。また、床面に凹みが生じることで、そこに水が溜まり滑りやすくなります。

 

工場床を良い状態で保つということは、従業員が安全に作業できる環境を提供するという意味もあります。

 

 

②原料や製品の破損を防ぎ、生産性を維持できる

工場床の状態が悪くなり、凹凸が生じることで、搬送している資材や製品の破損や粉塵により汚れる要因になります。例えば、製品を持って移動している従業員が転倒してしまう、台車に載せて工場内を移動している際、振動などで破損するなど、さまざまな問題が生じます。

 

工場にとって、原料や生産した製品は、大切なものですので、品質を維持できる環境を作らなければいけません。なお、工場の床には、区画分けを分かりやすくするためにラインが引かれているケースが多いです。このラインは、工場内の整理整頓や作業動線の確保を促す効果が期待できますので、床の状態を維持するということは、工場の生産性を維持することにもつながります。

 

③工場の印象が良くなる

3つ目のポイントは、常に床がキレイな状態を維持することで、工場そのものの印象が良くなるという点です。

 

上述したように、どのような建物でも、床の状態をわざわざチェックするような人は少ないと思います。しかし、施設内に入った時には、床面は必ず目に入るわけですので、その状態で与える印象が大きく異なるという点はおさえておくべきです。例えば、床の塗装が剥げてしまい、そこら中にひび割れや凹凸が生じているという状態の工場になると、「建物がこの状態だと、製品の品質が心配だな…」という印象を与えます。

 

一方、工場の床面が、綺麗な状態であれば、全体がキレイに見えますので、品質管理などもきちんとしてくれているだろうと好印象を与えるはずです。さらに、従業員についても、綺麗な工場ほど働くモチベーションが高くなると考えられます。

 

 

工場床を良い状態で保つ方法とは

工場床の状態をできるだけ長く保ちたいと考えた場合、適切なタイミングで床塗装の塗り替えをすることが重要です。ただ、一口に床塗装と言っても、採用する塗料によって得られる効果が異なります。また、工場によって取り扱う製品が異なりますので、『採用すべき塗料』も違います。

 

ここでは、工場床の塗装メンテナンスで採用される代表的な塗料について、それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

 

①エポキシ樹脂

一つ目は『エポキシ樹脂』と呼ばれる塗料です。エポキシ樹脂は、床塗装材の中でも安価な部類に入りますので、多くの施設で採用されています。

 

この塗料は、耐摩耗性、耐衝撃性、耐薬品性、耐油性に優れているという特徴を持っており、継ぎ目のない仕上がりになるので、美観性や衛生面でも優れていると人気です。エポキシ樹脂は、他の塗料よりも安価だというメリットがあることから、工場などの生産施設はもちろん、学校や病院など、幅広い施設で床塗装材として選ばれています。

 

ただし、耐久性や耐熱性で下で紹介する塗料より劣るというデメリットが存在する点は注意しなければいけません。この特徴があることから、工場などでエポキシ樹脂が採用される場合、『厚膜』と呼ばれる、通常の2倍の厚みで塗装する方法が採用されます。ただし、厚膜の場合でも、熱に弱いという特徴は変わりないので、高温下での作業となる施設には向かない塗料と考えておきましょう。

 

一般的に、耐熱仕様ではないエポキシ樹脂の場合、60℃までが対応可能温度とされていますので、これ以上の高温を取り扱う工場には不向きです。

 

※高温状態になる作業現場は他の塗料を採用しますが、事務所や廊下などでは、安価なエポキシ樹脂を採用してコストダウンを目指すという施設は多いです。

 

 

②ウレタン樹脂

ウレタン樹脂は、上述したエポキシ樹脂よりも若干高価な塗料になるのですが、耐衝撃性や耐熱性、耐薬品性・耐久性に優れているという特徴を持っています。

 

弾性があるという特徴から、塗膜にクラック(ひび割れ)が発生するリスクが低くなり、さらに、耐衝撃性・耐久性の高さから、重量物の移動や大型機械の設置にも耐えられます。そのため、多くの生産施設で採用されている塗料となります。

 

注意点としては、塗料そのものの耐久性は高いのですが、塗装工事の際、下地処理が不十分であると、短期間での剥離が生じてしまいます。さらに、種類によっては、汚れが付きやすく、カビが発生しやすいものがあるとされています。

 

※水性のウレタン塗料は、塗料特有のニオイが少ないので、食品工場などと相性が良いと考えられます。

③アクリル樹脂

最後はアクリル樹脂です。この塗料は、工場床の塗装剤としては最も高価になります。ただ、上述したエポキシ樹脂と比較した場合、約5倍の耐久性があると言われているうえ、非常に高い耐摩擦性、耐薬品性、絶縁性があります。さらに美観性も優れている塗料ですので、高価なのも頷ける材料なのではないでしょうか。

 

アクリル樹脂の大きなメリットとしては、塗料の硬化が非常に早く、施工後約1時間で硬化するとされているため、極端な話、施工当日に工場を使用できることになります。もちろん、塗装工事完了当日に稼働しないにしても、稼働までのスケージュールを考えるうえで、非常に大きなメリットがある塗料と言えるでしょう。この塗料は、機械や印刷、食品・薬品関連の工場はもちろん、電子機器を取り扱うクリーンルームや病院の手術室などにも採用されています。

 

デメリットとしては、高い耐久力を持つものの、鋭利な物体を落とした場合などに、傷が入りやすいので注意しましょう。また、上述した塗料と比較すると、高価だという点は否めません。

 

 

工場床の塗装工事の単価について

工場床の塗装は、上述した塗料の中から、工場の特性に合わせたものを選び施工することになります。なお、塗装工事の見積りを提示してもらった場合、塗料の単価が状況によって「4,000円〜20,000円/㎡」と幅があります。塗料の単価については、採用する塗料の違いだけでなく、施工する塗料の厚み下地の処理によっても変わると考えておきましょう。

 

一般的に、塗料の厚みを2倍にすると、単価も2倍程度まで高くなります。

 

 

工場の床塗装を長持ちさせるポイント

それでは最後に、工場の床塗装について、出来るだけ良い状態を長持ちさせるためのポイントについても簡単に解説しておきましょう。なお、どれだけ丁寧な扱いをしていたとしても、塗料にも耐用年数と呼ばれる寿命がありますので、いずれ塗り替えが必要になる時期はやってきます。

 

ただ、普段から少しだけでも「長持ちさせよう」という気持ちを持つだけで、床塗装の塗り替えスパンを長くすることが可能で、結果的に施設のメンテナンスにかかるコストを削減できると考えておきましょう。

 

  • 塗料下に水や油が入り込んでしまうと、塗装剥がれの原因となってしまいます。工場などでは、作業中に水や油、薬品などが床にこぼれてしまうことも多いですが、そういった時にはできるだけ素早く拭き取るようにしましょう。そうすることで、水分や油、薬品などが床に染み込むことを防ぐことができ、床塗装を長持ちさせることができます。
  • 日々の清掃が非常に重要ですので、作業終わりの清掃は丁寧に行うようにしましょう。また、作業中に小さな傷や穴が生じてしまうことも多いのですが、これを放置してしまうと、そこから水や汚れが侵入してしまうので、床材の早期劣化につながります。したがって、床の状態は定期的にチェックを行い、微小な傷でも早期に補修できる体制を作っておくのが大切です。
  • 工場の中に採用する塗料に関しては、それぞれの環境に適した塗料を採用するようにしましょう。例えば、通路と大型機械などを設置して作業する場所では、床に与えるダメージが異なるはずです。したがって、工場内を明確にゾーン分けして、それぞれの用途に適した塗料を選んで床塗装を行うことで、床の状態を長く良好に保つことが可能です。

 

工場床塗装業者の選び方

工場床塗装において種類や工法が多いため、専門業者に相談することがおすすめです。ここでは、工場床塗装業者の選び方について説明します。

 

下地処理を丁寧におこなう施工業者を選ぶ

床塗装工事では下地処理が非常に重要です。下地になる床に凹凸があると、床塗料の剥離や耐久性の低下が引き起こされる可能性があります。塗装作業を開始する前に、コンクリート下地を適切に処理できる業者かを確認しましょう。

 

工場床塗装の施工工程

ここでは業者の選び方の参考に工場床塗装の施工の流れについて紹介します。

 

  • 施工前の現場状況の確認
  • 塗装工事は建物の用途や工場での作業内容、美観の要望などを考慮し、塗料を選定して施工を行う必要があるため、施工前に、現場調査(床面積、床の状態、利用状況など)やお客様のご要望をお伺いし、スタッフと綿密な打ち合わせを行います。

     

  • 搬出や養生
  • 塗床工事の中で再塗装を行うリフォームの工程の場合、現在設置されている機器類などを一時的に搬出します。機械の搬出が難しい場合は、外壁塗装時と同様に養生を行います。特に食品工場などでは、移動が難しい機械が多いので、養生を行い、塗装作業を行うことが一般的です。

     

  • 下地処理
  • 塗床工事の耐久性や品質を向上させるためには、床面の下地処理を行います。この工程では、古い塗膜や汚れ、油脂、ひび割れなどを除去します。専用の機械や工具を使用して、床面を平滑化し、均一な状態に整えます。

     

  • 下塗り
  • 下地処理が完了したら、下塗りが行われます。床材に塗床材を丁寧に広げていくプロセスです。下地に多くの削れがある場合は、平面化作業を慎重に進めます。補修の場合は、機器の振動が影響することが多いため、補修を行った後に塗装を行います。
    ※塗装によってムラが生じることもありますが、これは下地処理に問題がある可能性があります。

     

  • 上塗り(平滑仕上げの場合)
  • 下塗り作業が完了したら、次は上塗り作業に移ります。上塗りの回数は塗料の種類によって異なりますが、通常は2回の工程で行われることが一般的です。

     

  • 仕上げ
  • 上塗り作業が終わると、仕上げ作業が行われます。仕上げ工程では、トップコートを使用して施工します。工場などの床は光沢がありますが、これは塗料の劣化を防ぐ効果もあります。

 

環境や用途に応じた床材料を提案してくれる施工業者を選ぶ

使用環境や目的によって、床に必要な機能は異なります。薬品の使用や重量物の移動の有無、静電気対策の必要性など、具体的な要件を理解してくれる専門業者に相談しましょう。詳細なヒアリングを行ってくれる業者は、同様に施工も細やかに対応してくれるでしょう。

 

実績豊富な施工業者を選ぶ

さまざまな工場での床塗装経験を持つ施工業者を選びましょう。多くの実績があるということは、信頼と実力で選ばれてきた証拠です。事前に自社に合った施工事例があるかを確認してみましょう。

 

工場床塗装の施工事例

ここでは三和建設の場床塗装の施工事例を紹介します。
 

イカリソース西宮工場 計量室

イカリソース西宮工場計量室
  • 施主イカリソース株式会社
  • 竣工2016年10月
  • 構造鉄骨造・2階建

イカリソース西宮工場計量室の工事事例詳細はこちら

株式会社第一食品 西宮工場 改修工事

株式会社第一食品西宮工場の改修工事事例
  • 施主株式会社第一食品
  • 竣工2021年01月
  • 構造

株式会社第一食品西宮工場の改修工事事例詳細はこちら

 

まとめ

今回は、工場床の状態について、良好な状態を保たなければならない理由や良い状態を保つために知っておきたい知識について簡単に解説してきました。

 

工場の床については、定期的なメンテナンスが必要だという認識はあるものの、外壁や屋根のメンテナンスと比較すると、優先度が低いと考えている方も少なくないでしょう。実際に、長年稼働している工場の中には、床塗装の効果が失われた状況でも、日々の作業が行われているケースは珍しくありません。

 

しかし、床の状態が悪くなってしまうと、凹凸や水たまりなどが原因となり、従業員の転倒事故の発生確率が高くなります。さらに、凹凸部分に汚れが付着したり、カビが発生してしまうなど、衛生面の問題などを引き起こしてしまうこともあるでしょう。床塗装は長く良い状態を保てるように、今回ご紹介したポイントを参考に日々の手入れをしてみましょう。

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

前のページへもどる