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工場・倉庫の生産機械を入れ替えるために必要な基礎工事のポイント

2025年 RENOVATION

工場・倉庫の生産機械を入れ替えるために必要な基礎工事のポイント

工場・倉庫の生産機械
 
工場や倉庫における大型生産機械の入れ替えでは、生産機械を安定させ、長期にわたって安全に稼働させるため、基礎工事が欠かせないポイントになります。しかし、基礎工事の種類や、実際に行われる作業を具体的にご存知の方は少ないです。基礎工事は、工場や倉庫に設置する機械が、安全かつ効率的に稼動するための土台を形成するために非常に重要な工程となります。そこで当記事では、工場や倉庫での生産機械の入れ替えにおける基礎工事について分かりやすく解説します。

 

基礎工事の重要性と種類について

基礎工事にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴と適用範囲が異なります。そこでここでは、基礎工事の重要性と代表的な基礎工事の種類について解説します。

 

基礎工事の重要性

基礎工事は、文字通り建物や機械の土台となる基礎部分を作るための工事のことを指しています。この工事は、大型機械を設置するスペースの地盤がしっかりとしていることを確認し、その上に機械を安全かつ安定的に据え付けできるようにするため行われる工事となります。
 
工場や倉庫に設置する大型の機械は、稼働時に機械そのものが振動する場合が多く、基礎部分が弱いと、機械が動いてしまい性能を最大限発揮できない場合や、振動が原因で内部部品が外れるなどの故障のリスクが高くなります。工場や倉庫では、生産機械の安定的な稼動を実現する上でも、機械の重さや作動時に生じる振動に耐えられるような基礎の強度が求められるため、基礎工事の工程が非常に重要です。
 
なお、基礎工事を正確に行うことで、地震や土壌の不均一性による地盤沈下などのリスクを大幅に減らすことができるため、後々のメンテナンスコストの削減にもつながります。

 

基礎工事の種類

ここでは、代表的な3つの基礎工事について、それぞれの特徴を解説します。

べた基礎
べた基礎は、設置面全体に鉄筋コンクリートを流し込む基礎工事です。コンクリートと鉄筋の使用量が多く、全体的に均等な負荷がかかり、不同沈下が起こりにくく地盤が安定する点がメリットです。
 
不同沈下とは、地盤の歪みの影響で地面が傾いたり沈んだりすることを意味しており、機械の設置面で不同沈下が起こると機械が傾いて倒れるといった事故のリスクが考えられますが、べた基礎はそのリスクを低減することができます。
 
ただし、べた基礎は、高い耐久性を発揮するため、長期的な安全性を確保できるというメリットがある一方、他の基礎工事と比較するとコンクリートなど材料の使用量が多く、施工に時間を要し、コストも高くなる点がデメリットです。
 
なお、べた基礎は、基本的に「強度が高い」点がメリットですが、その強度は鉄筋の数によって変わります。鉄筋が多ければ強度が高くなり、その分コストがかさみます。鉄筋の量が少なすぎると、べた基礎でも通常より地盤が脆くなることもあります。自社の場合はどの程度の強度が必要か、的確な提案をしてくれる工事会社を選定しましょう。
布基礎
布基礎は、地面に逆T字型にコンクリートを打ち込む方法です。べた基礎と比較すると、コンクリートや鉄筋の量が少なくなるため、コストを抑えられる点が特徴です。予算が限られている場合や、比較的軽量な機械の設置に適した基礎工事の方法といえます。また、布基礎は、点で構造物を支えるため、べた基礎よりも頑丈な箇所がある点もメリットとされています。
 
ただし、面全体で支える構造で荷重が分散されるべた基礎と比較すると、点で支える布基礎は、耐震性という面では劣る点がデメリットです。
SRC基礎
SRC基礎は、外周を立上り基礎で形成し、内周部の柱受けにフラットジグ(H形鋼材)を組み込み、床下を砂利やコンクリートで満たした完全密閉構造になることが特徴です。非常に頑強な基礎となるため、特に大型の機械や高層の構造物の設置に適しているとされます。ただし、他の基礎工事と比較すると、工事期間が長くなる、高い施工技術が求められるという点から、コストが高いというデメリットがあります。
 
工事期間中は、機械が稼働することができないため、機械の入れ替えにあまりに長い時間がかかると、稼働停止による影響が大きくなってしまいます。したがって、コストや基礎工事の種類による耐久性以外にも、事業活動への影響も考慮して適切な基礎工事を選ぶようにしましょう。

 

基礎工事のポイント

それでは、工場や倉庫の生産機械を入れ替える際、非常に重要な工程となる基礎工事のポイントについても解説します。一口に「生産機械を入れ替える」といっても、施設によって設置する機械の大きさ(重量)や稼働時に生じる振動、求められる耐震性などは異なります。したがって、新たに設置する生産機械に応じて、必要な耐久性を持たせるためには、基礎工事の段階でさまざまな点に注意する必要があります。

ここでは、生産機械の入れ替えにおける基礎工事の代表的なポイントをご紹介します。
 

  • 地盤調査と地耐力の確認
    大型機械を設置する際の基礎工事では、初めに基礎を設置する地盤の地耐力を確認します。地盤調査を行い、設置する機械に対して地耐力が不足していると判断される場合、補強工事や地盤改良工事が行われます。大型機械の入れ替えでは、地盤が機械の重さに耐えられるようにすることが非常に重要なポイントになります。
  • 基礎設計について
    設置する機械の重量、稼働時の振動、耐震性などを考慮した基礎設計が必要です。例えば、基礎と上部構造をしっかりと繋ぎ留めるために重要なアンカーボルトなどは、事前に耐震計算などを行い、ボルトの種類の選定や位置、施工方法を確認する必要があります。この工程の精度が、機械設置後の安定性に大きな影響を与えるため、設置された機械が稼働時に動いたりしないよう、適切な位置にボルトを設置しなければいけません。
  • 基礎の仕上げについて
    基礎工事は、コンクリートを流し込んだ後、養生期間を設けて強度を確保します。その後、仕上げとして余分なコンクリートを除去し、基礎表面を平らに仕上げます。基礎の仕上げは、機械が安定して設置できるようにするため、平らで滑らかな状態にすることが重要です。

 
なお、工場や倉庫の生産機械の入れ替えでは、基礎工事以外の部分でも注意しなければならないポイントがあります。
 
例えば、工場・倉庫の生産設備の入れ替えは、工事にかかる期間がそれなりに長くなります。上述したように、必要に応じて地盤改良や補強工事をしなければならないケースもあり、条件によっては工場・倉庫の稼働停止期間が長くなることで事業そのものに大きな影響を与える可能性があります。したがって、自社の売り上げや取引先への影響を最小限におさえられるよう計画的に設備の入れ替えを行う必要があります。また、交換を予定している機械のサイズによっては、建物自体の拡張工事などが必要になる可能性もあるので、その点も注意が必要です。
 

まとめ

今回は、工場や倉庫で使用する大型生産機械の入れ替えを検討した時、非常に重要なポイントになる基礎工事について解説しました。
 
生産機械設置の基礎工事は、安全で安定的な機械運用の土台となる非常に重要な工程です。機械の土台となる基礎は、地震などの自然災害が発生した際、そこで働く従業員の命を守る上でも非常に重要です。地震の揺れで機械が動いたり、転倒したりすると、従業員を巻き込む大事故に発展する危険もあるでしょう。
 
工場や倉庫のレイアウト変更や最新設備への入れ替え時には、既にある生産機械の移設や新規据え付けが必要になります。その際には、豊富な実績と確かな技術を持った三和建設にご相談ください。

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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