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改修工事とは?工事の種類や修繕工事との違いについて解説

2022年 RENOVATION

改修工事とは?工事の種類や修繕工事との違いについて解説

工場の改修工事

建築物というものは、どのような用途の建物であっても、新築と同時に経年劣化が始まり、築10年前後になるとさまざまな劣化・損傷が表面化してくるため、修繕工事や改修工事が必要になります。適切なタイミングで適切な修繕・改修工事を行うことは、建築物の資産価値を守ることができるだけでなく、従業員が働きやすい環境を維持することができるようになり、従業員の働く意欲の向上や生産性の向上を期待することができます。

 

当記事では、どのような建築物でも必要になる改修工事について、その概要や種類、混同されることの多い『修繕』との違いについて解説します。工場や倉庫などは、他にコストをかけるべきポイントが多いことから、施設の修繕や改修が先延ばしにされてしまうことも多いのですが、適切な時期に適切な改修を実施することのメリットについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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改修工事とは?修繕工事との違いを抑えておこう

それではまず、改修工事と修繕工事について、それぞれが何を意味しているのかについてご紹介します。工場や倉庫、マンションなどの大規模施設では、定期的に「大規模修繕工事」や「大規模改修工事」などと銘打たれた工事が行われますが、これは「名称が異なるだけで中身は同じ」と考えている方が多いのではないでしょうか?しかし、改修工事と修繕工事は、それぞれの工事の目的が明確に異なりますので、以下で簡単にそれぞれの目的をご紹介します。

 

  • 改修工事とは 改修工事は、建物の劣化や損傷を修理、修復するだけでなく、新築時の状態よりも建物の性能・機能をより高いものにアップグレードさせるための工事を指します。例えば、建物内にバリアフリー機能を付加する、断熱塗料を採用して建物の断熱性を向上させるなど、既存建物に新たな機能を追加し、付加価値も高めるような工事です。なお、近年では、古くなった倉庫を店舗や住居など、全く異なる用途の空間に作り替える工事も倉庫リノベーション(改修)と呼ばれています。
  • 修繕工事とは 修繕工事は、既存建築物について、新築時の性能・機能の状態を維持・回復させるための工事を指しています。上述したように、どのような建物でも、新築と同時に経年劣化が始まりますので、建物各部にはさまざまな不具合が生じます。修繕工事は、こういった劣化・損傷について、修理や交換などの処置を行って、新築時の性能・機能が問題なく使用できる状態に復元することを指します。分かりやすく言えば、マイナスの状態をゼロに戻すための工事です。

 

このように、改修工事と修繕工事は、工事を行う目的がかなり違います。修繕工事は、劣化した部分を「新築の状態まで復元する」ことを目的にしていて、改修工事は「元の状態よりも機能や利便性を向上させ、価値を高める」ことを目的にしています。

国土交通省の改修工事に関する考え方

ここで、改修工事と修繕工事の意味について、国土交通省の考え方についてもご紹介します。国土交通省が作成した資料では、修繕工事や改良工事、改修工事の考え方について、以下のように説明しています。

  • 修繕工事(リフォーム) 建物の建設当初の水準にまで回復させること。
  • 改良工事(グレードアップ) 建物各部の性能・機能をグレードアップする工事。建物を構成する材料や設備を新しい種類のものに取替えることや、新しい性能・機能などを付加すること。
  • 改修工事(リノベーション) 修繕及び改良(グレードアップ)により、建築物の性能を改善する変更工事のこと。

これからも分かるように、国土交通省の改修工事の考え方は『修繕工事(リフォーム)+改良工事(グレードアップ)=改修工事(リノベーション)』というスタンスになっています。なお、国土交通省では、改修工事を定期的(築12年、築24年、築36年)に実施することで、建物の老朽化防止・陳腐化防止ができるとしています。

計画修繕と改修の重要性

 

画像引用:国土交通省資料より

 

 

※上図は、マンションなどの計画的な改修工事の考え方ですので、参考程度に抑えておいてください。

 

 

 

改修工事をおこなうメリット

 

 

工場や倉庫などの営業用施設は、生産性向上のために新たな設備を導入するなど、他にもコストをかけなければならないポイントが多いです。そのため、建物の軽微な劣化や損傷が放置されたり、改修工事が必要なタイミングなのに先延ばしにされるといったケースが珍しくありません。

 

しかし、適切なタイミングに適切な改修工事を行うことで、さまざまなメリットが得られるということを忘れてはいけません。

 

 

メリット① 資産価値の維持、向上が期待できる

 

工場や倉庫の改修工事は、建物の資産としての価値を維持できるという点が大きなメリットになります。建物は、そこに存在するだけでさまざまな外的要因の影響を受け、劣化・損傷が進んでしまいます。当然、建物の劣化を放置すれば、状態はどんどん悪化することになり、不具合が発生することでしょう。そうなると、工場や倉庫の資産としての価値は低下することになります。

 

改修工事は、建物の劣化や損傷を単に回復させるだけでなく、今までよりも機能や性能を高めることを目指します。そのため、改修工事は、建物の資産としての価値を維持するだけでなく、価値の向上まで見込めます。

 

 

 

メリット② 企業の価値向上が期待できる

 

 

工場や倉庫は、まさに企業の顔と言っても過言ではない施設です。そのような建物が、劣化や損傷を放置され、適切な修繕や改修が行われていなかった場合、企業としてもイメージが低下する恐れがあります。例えば、建物内部は、清掃や整理整頓が行き届いていたとしても、外観がボロボロの状態で放置されていた場合、「製品の扱いが悪そう…」「高い技術を持っていなさそう…」などのネガティブなイメージをもたれてしまいます。

 

これが、適切なタイミングで適切な改修工事が行われていた場合、建物の見た目はもちろん、機能性なども向上しますので、企業としてのイメージも向上することでしょう。適切な改修工事は、企業価値を低下させないだけでなく、向上させてくれるというメリットをもたらせてくれます。

 

 

メリット③ 安全な職場環境の構築が期待できる

 

工場や倉庫などは、施設内で多くの従業員が働いています。そして、建物の劣化の放置は、労働災害の発生確率が高まるなど、従業員の安全を脅かすリスクが生じます。例えば、適切な改修工事を怠り、施設で雨漏りが発生すると、床が濡れてしまい従業員が転倒して怪我をするリスクが高くなります。他にも、建材の劣化が進み、脆くなった場合、地震などの揺れで建材の一部が落下し、従業員に直撃して怪我をしてしまうなどというリスクも高まるでしょう。

 

こういった建築物の劣化が原因となる労働災害については、定期的に建物の点検を行い、適切な改修工事を行って不具合を解消することで事故の発生そのものを防ぐことが可能です。つまり、適切な改修工事には、従業員が安全に働ける環境を整えることができるというメリットが存在するわけです。

 

 

 

改修工事の種類について

 

 

それでは最後に、改修工事の種類について簡単にご紹介します。

 

屋根・外壁改修工事

 

屋根や外壁は、常に風雨にさらされ続ける場所となりますので、建物の各部位の中でも最も劣化・損傷が進行しやすい場所となります。そして、屋根や外壁にクラックが入り、隙間が生じてしまうと、そこからの雨漏りに発展する恐れがあります。さらに、食品関連施設(食品工場など)などであれば、ほんの小さな隙間が害虫の侵入経路となり、異物混入などの食品事故に発展する恐れがあります。

したがって、こういったリスクを解消するためにも、定期的な点検と改修工事が必要不可欠です。屋根・外壁の改修工事は、以下のような種類があります。

  • 屋根や外壁の再塗装工事 新たに採用する塗料として、遮熱塗料や断熱塗料など、高機能性塗料を採用し、屋根や外壁に新たな機能を追加する。
  • 防水工事 外壁材の目地部分や窓枠・ドア枠などにはコーキングが施されています。このコーキングは、紫外線などの影響で徐々に硬化して伸縮性や防水性が失われます。コーキング材の劣化は、雨漏りや害虫の侵入経路になるなど、さまざまな問題を引き起こしますので、定期的な防水工事が必要です。
  • 屋根改修工事 屋根は、建物の中でも特に劣化スピードが速いです。屋根の改修については、塗装の他に、既存屋根材を新たな屋根材に葺き替えする工事などが選ばれます。既存屋根材よりも、軽量な屋根材に拭き替えることで、建物の耐震性能向上など、機能性の向上が見込めます。

 

塗床改修工事

 

工場や倉庫の床は、重量のある荷物が頻繁に行き来する、多くの従業員が活動しているなどと言った理由で、劣化・損傷の進行スピードが速いです。そこで、劣化スピードを緩やかにする目的などで、定期的に塗床工事を施します。これをすることで、床面の耐水性・耐久性を維持することが可能になり、建物の実質耐用年数を伸ばすことに繋がります。
また、床の劣化を放置した場合、床面に凹凸やクラックが生じてしまい、従業員の転倒事故の可能性を高めてしまいます。定期的な塗床改修工事は、こういった事故を防ぐ目的としても非常に有効です。

 

その他の改修工事

 

工場や倉庫などの大規模施設では、上記以外にも、さまざまな改修工事が必要になります。ここでは、国土交通省の資料から一部を抜粋してご紹介します。

 

  • 空調・換気設備改修工事 空調設備の劣化・損傷個所の清掃・修繕・取替工事、換気口・換気扇・ダクト類の清掃・修繕・取替工事、材質のグレードアップ、ダクトの給排気能力の向上など
  • 消火設備改修工事 屋内消火栓設備、連結送水管設備の劣化・損傷箇所の修繕・取替え、及び機器類、配管の材質のグレードアップなど
  • 舗装改修工事 敷地内道路、駐車場、駐輪場、歩道、広場等の舗装、舗装のバリアフリー性・デザイン性・耐久性等のグレードアップ、屋外段差部のバリアフリー化など
  • 排水設備改修工事 雑排水管・汚水管の材質のグレードアップ、排水能力のアップ、排水システムの変更、排水管清掃口の新設・増設など

 

 

参照資料:国土交通省資料より

 

まとめ

今回は、似たような用語が多いことから、勘違いしている方が多い『改修工事』の意味などについて解説しました。建物は、そこに存在するだけで、徐々に劣化が進行してしまいます。そのため、どのような建物であっても、長く使い続けるためには、定期的な点検を行い、劣化や損傷が軽微なうちに修繕を行っていくのが非常に重要になります。ただ、小まめな修繕を行っていたとしても、築年数が経過していけば、細かな修繕では元の機能を回復することがどうしても難しい時がやってきます。そのような時に行われるのが、『大規模修繕』や『大規模改修』と呼ばれる工事です。

 

そして、改修工事というのは、劣化や損傷を直し「元の建物の機能・性能を回復」させるだけでなく、「工事を行うことで、元の機能・性能を向上させる」ことを目的としています。この記事内でご紹介したように、国土交通省の考え方では「修繕工事(リフォーム)+改良工事(グレードアップ)」が『改修工事』となっており、より良い建物を目指すために行う工事と考えても良いと思います。

 

 

もちろん、改修工事と一口に言っても、さまざまな種類の工事手法がありますし、既存建物の状態などによって必要な工事はまちまちです。工場や倉庫の改修工事は、建物の資産価値を維持するだけでなく、向上させることにもつながるので、適切なタイミングで適切な工事を行えるような体制を整えておくのがオススメです。

 

 

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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