2022年 RENOVATION
今回は、工場や倉庫などの大規模施設で用いられる屋根材の種類と、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。 工場や倉庫などにとって、屋根は紫外線や風雨の影響が建物内部にまで侵入しないようにするという重要な役割を持っています。また、施設内ではさまざまな機械・設備が稼働していますし、そういった機械から生じる大きな音が、外に漏れていかないようにするという役割もあります。工場や倉庫では、どういった屋根材が採用されているのでしょうか?
ここでは、施設規模が大きな工場や倉庫で用いられることが多い代表的な屋根材の種類とそれぞれの特徴を解説していきます。
工場や倉庫など、大規模施設の屋根によく採用される屋根の種類についてご紹介していきましょう。戸建住宅でも、多種多様な屋根材があるように、工場や倉庫の屋根にもいくつかの種類が存在しています。
以下に、代表的な屋根材の種類とそれぞれの特徴を簡単に解説しておきます。
まずは波板スレートと呼ばれる屋根材です。この屋根材は、セメントと繊維を混ぜて作られた屋根材で、その名称通り波を打つような形状に成形された屋根材になります。素材的には、戸建て住宅でもよく採用されている化粧スレートと呼ばれる屋根材と同じものです。
波板スレートは、波打っている山の大きさによって『大波スレート』と『小波スレート』に分類することができます。現在では、大波スレートが屋根や外壁材として併用されていますが、小波スレートに関しては外壁材専用として利用されています。ただ、築年数が古い建物では、屋根にも小波スレートが採用されているケースも多いです。
屋根材としての波板スレートのメリットは、高い耐久性・断熱性・遮音性・耐火性を持っていることです。屋根材のメリット・デメリットは後述します。
近年、工場や倉庫の屋根として主流になってきているのが折半屋根です。折半屋根は、金属をジグザグに折り曲げている屋根材です。金属は、折り曲げることにより強度を増しますので、このような特徴的な形状になっています。
折半屋根は、非常に軽量な金属素材が採用されていることから、広い屋根に施工することが可能で、工場や倉庫の他、体育館のような大規模施設の屋根に採用されるようになっています。また、折半屋根の折板は、梁や母屋に直接屋根材を葺くことができるため野地板がいらず、工期の短縮が可能です。さらに、強風地帯においても強靭性を発揮する、雨仕舞にも高い性能を期待できるなどと言うメリットから、工場・倉庫などの事業用施設で人気になっているのでしょう。
工場・倉庫では、上記の波板スレート、折半屋根が代表的なものと考えてください。これ以外にも、狭小地の戸建て住宅の屋根としても近年人気になっている『陸屋根(りくやね・ろくやね)』などもありますが、これは屋根材と言うより形状の問題なのでここでは省きます。
それではここからは、それぞれの屋根材のメリットとデメリットを簡単にご紹介していきたいと思います。まずは、工場や倉庫で古くから採用されている波板スレートのメリット・デメリットをご紹介します。
近年では、工場や倉庫などの事業用施設でも美観を意識されることが増えているため、意匠性に優れている折半屋根を採用するケースが増えていると言われています。ただし、古くから工場や倉庫などで採用されている波板スレートにもさまざまなメリットが存在します。
上記のようなメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在しますので、以下の点はおさえておきましょう。
それでは次に、折半屋根を採用した場合のメリットとデメリットも見ていきましょう。折半屋根は、金属板を折り曲げて強度を増している屋根材になります。素材的には、ガルバリウム鋼板が最も主流で、カラーステンレスやフッ素鋼鈑などが採用されるケースもあります。
それでは、折半屋根にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
まずはメリット面からみていきましょう。
最後に、折半屋根のデメリット面もご紹介しておきます。
今回は、工場や倉庫など、施設規模が大きい建物で採用される屋根材の種類とそれぞれのメリット・デメリットについてご紹介してきました。
この記事でご紹介したように、工場や倉庫では、波板スレートや折半屋根と呼ばれる屋根材が採用されるケースが多く、どちらも耐久性や耐火性に優れているという点は共通しています。ただし、屋根材の素材が全く異なることから、注意すべきデメリットはかなり違いますので、その点は頭に入れておきましょう。
なお、2004年よりも前に建てられた工場や倉庫で、波板スレートが採用されている場合は、屋根材にアスベストが含まれている可能性があります。その場合は、修繕よりも葺き替えによりアスベストを排除する必要がありますので、早めにご相談ください。
1990年三和建設株式会社 入社、2015年同社 常務取締役就任
改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。
施工管理歴15年、1級建築施工管理技士