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工場屋根の改修工事を行うメリットと必要性について解説

2021年 RENOVATION

工場屋根の改修工事を行うメリットと必要性について解説

工場における屋根改修工事の必要性や適切なタイミングでメンテナンスを行っていくことで得られるメリットについて解説します。

工場などの大規模施設の屋根は、劣化や破損に気を配り、適切な改修工事を行っていく必要があります。例えば、小さな劣化に気付きながらも修理コストを嫌って放置してしまった場合、台風などの自然災害によって一気に破損が拡大し、製造した製品の破損、製造機械が壊れてしまうなどといった大きな被害につながる可能性が考えられます。

そもそも、工場の屋根というものは、単なる「雨風をしのぐ」だけのものではなく、その他にもさまざまな機能性をもたらせてくれる非常に重要な部位だと考えなければいけません。そこでこの記事では、工場屋根に求められている機能や、それを維持していくための改修工事の必要性とメリットについてご紹介します。

工場の屋根に求められる機能とは?

建物にとって『屋根』というものが、極めて重要な部位だということは誰もが理解していることだと思います。そして、工場ではその重要性が特に顕著です。工場は、製品を製造したり、保管したりする場所で、多くの人間が建物内で活動しています。
したがって、工場の屋根改修を検討する上では、工場の屋根に求められている機能がどういったものなのかを知っておくことも大切です。

  • 防水性、防風性
    雨風をしのぐという機能です。特に日本は、四季があり、毎年梅雨や台風の季節がやってきますし、屋根の防水性や防風性を見落としてしまうと、雨漏りなどで大きな被害が生じてしまうリスクがあります。
  • 遮音性
    見落とされがちな機能ですが、工場の業務を考えた場合、欠かせないのが遮音性です。工場では、製品を製造するため、大型機械が作動することも多く、大きな機械音が生じることも珍しくありません。したがって、周辺環境への配慮として、屋根の遮音性に注意しましょう。
  • 耐火性
    一定以上の規模を持つ施設は、建築基準法上で耐火構造や準耐火構造を求められます。(国土交通省『建築基準法制度概要集』)また、法律の定めに限らず、冬場が乾燥してしまう、隣接する建物との距離が近くなりがちな日本においては、どのような建物でも耐火性能に十分な注意が必要です。
  • 採光性
    工場や倉庫の屋根は、採光性を求められるケースはあまりないと考えられていますが、実は非常に大きな効果が期待できる機能です。採光性が高い施設になると、内部で働く従業員の視認性が高まります。適切な明るさの確保は、人の気分を高めて生産性を向上させる効果が期待できるとも言われています。さらに、自然光を効率よく取り入れることで、照明にかかるコストを削減できるなど、さまざまなメリットが得られます。
  • 遮熱or断熱
    広大な施設となる工場などは、空調の効きが悪い施設も多く、工場内部の気温が危険なほどに高くなってしまうことがあります。そして、施設内部が高温になってしまう主な原因は、屋根にあると言われています。そのため近年では、屋根に遮熱性や断熱性を持たせるため、屋根塗装やスプリンクラーの設置などが行われています。

定期的な屋根改修の必要性

ここまでの説明で分かるように、工場の屋根はさまざまな機能を求められています。しかし、工場や倉庫などの営業用施設に関わらず、建物というものはそこに存在するだけで経年劣化が進み、本来持っていた機能性が損なわれて行くものです。したがって、どのような建物でも、定期的なメンテナンスを避けて通ることは不可能だと考えなければいけません。

「何か問題があってから対処すれば良い!」というような考えでは以下のような被害が生じてしまう危険があります。

  • 雨漏り被害につながる
    屋根の劣化は雨漏り被害につながる恐れがあります。工場などでの雨漏りは、製造した製品を濡らしてしまう…、製造機械が水で故障してしまう…などの二次被害を引き起こしてしまいます。さらに、納期遅れなどが発生してしまえば、自社の信用すら失ってしまう大問題に発展します。
  • 従業員に命の危険が…
    雨漏りによる漏水が電気系統に及んだ場合、漏電によりさまざまな問題を引き起こしてしまう場合があります。例えば、頻繁に製造ラインが止まってしまう…など、業務に支障が出る恐れがあるでしょう。さらに危険なのは、漏電により手すりなどの金属を触った従業員が感電してしまう事故の発生などの危険も考えられます。
  • 災害により大きな被害が
    小さな劣化の放置は、地震や台風の際に、一気に大きな被害として表面化する場合があります。例えば、屋根のボルトの緩みなどを放置していた場合、台風の強風で屋根が丸ごと吹き飛ばされてしまうといった被害も考えられます。こうなってしまうと、建物の建て替えなど、復旧に莫大なコストがかかってしまいます。

こういった大きな被害を生じさせないために、定期的に専門業者による点検を行い、必要であれば屋根改修を行いましょう。

工場や倉庫の屋根の改修方法

ここでは、工場・倉庫の屋根の主な改修方法「屋根塗装」「屋根カバー工法」「葺き替え」について説明します。

屋根塗装

屋根塗装は、屋根表面に新しい塗料を塗り重ねる作業を指します。

・波型スレートの屋根塗装
2006年以前に製造された波型スレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があるため、高圧洗浄といった通常の屋根塗装の前処理は、アスベストの飛散リスクを考慮し実施できません。

・金属屋根の屋根塗装
金属屋根は定期的に塗装メンテナンスを行うことが重要です。特に20年から30年以上前に設置された金属屋根は、多くがトタン(亜鉛メッキ鋼板)でできています。トタンは一旦錆びると、その錆びが拡がるリスクがあります。錆びは屋根に穴が開く原因となり、結果的に雨漏りの原因にもなりますので、錆を除去する作業(ケレン作業)と錆止め塗料を塗る作業は、10年から15年ごとに実施を検討しましょう。

屋根カバー工法

屋根カバー工法とは、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねて覆う(カバーする)方法で、重ね葺き工事とも呼ばれます。

波型スレート屋根、折板屋根、そして瓦棒葺き屋根も含め、カバー工法による改修が可能です。この方法では、折板屋根材を既存の屋根の上に重ねて施工します。ただし、屋根の重量が増加するため、建物の耐震性が低下する可能性があります。

この方法の最大の利点は、葺き替えに比べてコストが低いことです。また、古い屋根を撤去せずにそのまま改修工事を行えるため、場合によっては、工場や倉庫などが稼働中でも工事を行うことができるメリットがあります。

葺き替え

葺き替えは、既存の屋根材を取り除き、新しい材料で再び屋根を覆う作業を指します。改修後は屋根が新築と同じ状態となり、耐震性の不安も全くありません。屋根の改修工事という点では、最も望ましい工事です。

ただし、1931年~2004年ごろまでに製造された波型スレートはアスベストが含まれているため、撤去作業に多額の費用がかかります。

また、古い折板屋根は錆びたボルトが鉄骨の鋼材に強く固定されており、折板屋根を取り外す作業は容易ではなく時間もかかります。

工場の屋根修理で業者を選ぶポイント

ここでは、工場の屋根修理で業者を選ぶときのポイントについて説明します。

建築業許可証の有無を確認

建築業法によれば、工事の施工価格が500万円以上の場合は、建築業許可証が必要です。大規模な工場の屋根工事では、建築業許可証を保有する専門業者に依頼する必要があります。それ以外の場合でも、公的機関からの証明を受けている業者は信頼性が高いため、確認したほうが良いでしょう。

過去の実績から選ぶ

屋根修理は専門的な技術が必要です。そのため、屋根修理での豊富な経験を持つ、長い歴史を誇る業者を選ぶことが推奨されます。特に屋根修理の成功は工場運営に直結するため、工事の遅延や修理ミスによる雨漏りなどのトラブルを避けるためにも、実績豊富な業者を選ぶ方が良いでしょう。

工場屋根の改修工事を行うメリット

それでは最後に、工場屋根の改修工事を行うメリットについてご紹介していきましょう。上述したように、定期的な屋根のメンテナンスは、工場屋根の機能性を維持し、さまざまなリスクを回避できるという非常に大きなメリットが存在します。さらに、定期的な工場屋根の改修工事を行うことは、これ以外にもたくさんのメリットがあります。

建物の資産価値を維持できる

定期的にメンテナンスが行われていれば、建築物としての機能を健全な状態で保つことができます。それに対して、建てられたときのまま、メンテナンスもなしに長い年月が経過してしまった建物…。

この2つの条件であれば、どちらが高い価値の建物なのかは言うまでもありません。工場は、企業にとって非常に重要な資産でもありますので、資産価値を高いまま維持できるということは大きなメリットになると考えられるでしょう。

企業価値を高める

企業にとって、近隣住民に工場がどう思われているのかは、非常に重要なポイントです。例えば、汚れが目立ち、サビが浮いている建物よりも、常に綺麗な見た目を維持している工場の方が好感度が高いのは当然のことです。企業イメージというものは、さまざまな要因で決まるものですが、見た目で判断される要素も意外に多いので、ネガティブなイメージを与えるポイントはできるだけなくす方が良いでしょう。

また、雇用確保の面などを考えても、常に綺麗で清潔な環境を維持している企業で働きたいと考えるものでしょう。そのため、企業が外からどのように見られているのかも非常に重要な要素だと考えた方が良いです。屋根や外壁の改修を行い、美観を保つことは単に建物が綺麗に見えるだけでなく、企業イメージそのものを高めてくれるはずです。さらに、屋根の断熱性や採光性を高めて省エネなどに取り組めば、環境問題にも寄与できます。

このように、屋根の改修工事は、企業価値そのものを高めてくれるという効果が考えられます。

まとめ

今回は、工場における屋根改修工事の必要性やそのメリットについて解説しました。この記事でご紹介したように、工場の屋根というものは、単に雨風をしのぐだけのものではなく、工場機能の維持や労働環境の向上などに必要な機能性を持った、とても大切な部位だと言えます。そのため、屋根のメンテナンスを怠ってしまうと、さまざまな問題が生じてしまう危険があると考えなければいけません。

定期的な屋根のメンテナンスや改修工事に関しては、それなりのコストがかかってしまうため、可能な限り先延ばしにしたい…と考えてしまう事業者様が多いです。しかし、メンテナンスを先延ばしにして、台風などによって大きな被害が生じてしまった場合、復旧するためにさらに大きな費用が必要になってしまいます。また、大規模復旧工事の間は、業務がストップしてしまうことになりますので、工事費以外にも非常に大きなマイナスが考えられます。

建物は、そこに存在するだけで劣化してしまうものですので、定期的なメンテナンスを避けることはできないと考えましょう。逆に、計画的にメンテナンスを行っていくことで、建物の資産価値を維持し、企業イメージまでもを高めることができるというメリットにも注目してみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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