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工場・倉庫で実施すべき地震対策を紹介

2023年 RENOVATION

工場・倉庫で実施すべき地震対策を紹介

地震対策の工事

 

自然災害が多い国として有名な日本は、いつ大地震が起きてもおかしくありません。

 

2023年5月は、震度5弱以上の地震の数が6回を超えており、これは2016年4月以来の多さだと言われています。(震度3以上の地震は40回を上回っています)

 

参照:ウェザーニースより

 

日本は、昔から『地震大国』などと揶揄されているように、諸外国と比較しても、地震の発生数が非常に多いです。そのため、日本国内に建てられる建築物は、建築基準法で定められた耐震基準を遵守することで、一定の耐震性能を確保しています。しかし、建築基準法は「生きた法律」とも言われる法律で、大規模地震が起きるたびに損傷を受けた建物の検証を行うことで、耐震基準に改正が行われています。そのため、築年数が経過した工場や倉庫の中には、現在の耐震基準を満たしていない建物もまだあります。

 

工場や倉庫に大きな被害があった場合には、製造や出荷ができなくなり、多方面に影響を与えます。そこで当記事では、地震が発生した時、工場や倉庫にどのような被害が生じるのか、また地震による被害を出さないために行っておくべき対策をご紹介します。

 

 

地震による工場・倉庫への悪影響とは?

それではまず、工場や倉庫の所在地で大きな地震が発生した場合、どのような被害が考えられるのかについてご紹介します。

 

日本は、地震以外にも、台風や集中豪雨による水害など、自然災害の発生件数が非常に多いです。ただし、地震という自然災害は、現在の技術をもってしても「いつ・どこで」発生するのか正確に予想することができない点が非常に難しいです。

 

台風や集中豪雨による水害なども、甚大な被害をもたらすことがありますが、現在ではかなり精度の高い予報が事前に出るようになっており、被害を最小限に抑えるための対策や避難が可能な状況になっています。

 

工場・倉庫の台風対策方法と改修時のポイント

 

それでは、いつ・どこで発生するのか分からない地震について、何の対策も行わない状態で被災した場合、工場や倉庫で想定される被害をご紹介します。

 

 

  • 保管している商品が棚から落下して破損する
  • 棚が転倒して、機械が破損する
  • 転倒した棚や落下した商品が従業員にぶつかり怪我をする
  • 大型機械が地震の揺れで移動し、従業員が挟まれて怪我する
  • 大型機械が地震の揺れで移動し、避難経路塞ぎ、避難が遅れる
  • 建物が損壊もしくは倒壊する

 

 

工場や倉庫の中には、大型の機械・設備や背の高い棚が設置されています。そして、地震対策がなされていない場所では、これらの機械・設備が地震の揺れにより「落下・移動・転倒」を起こし、製品をダメにしたり従業員を危険にさらしたりする可能性があります。

 

さらに、地震により設備の停止、棚の転倒などが起きてしまうと、事業そのものがストップしてしまうことになり、自社だけでなく取引先企業にも悪影響を与えてしまうことでしょう。

 

それでは、どのような準備をしておくべきなのでしょうか?次項で工場・倉庫に必要な地震対策について解説します。

 

 

 

工場や倉庫で必要になる地震対策について

工場や倉庫での地震対策については、建物そのものに対する地震対策と、施設内部に施すべき対策に分けることができます。

 

 

工場や倉庫そのものの地震対策

まずは建物そのものの地震対策です。工場や倉庫の中には、築年数が経過して、建物の老朽化が目立つ場合は、現在の状態を正確に把握するため、専門業者による耐震診断を受けるのがオススメです。そして、耐震診断の結果、地震による建物の倒壊リスクがあるなど、人的被害が想定されるような場合は、早急に耐震補強などを行う必要があります。なお、建物の地震対策には、以下の3つの手段があります。

 

  • 免震
    免震とは、建物と基礎の間に免震装置を設置することで地盤と建物を切り離し、地震の揺れを直接建物に伝えないようにする対策です。この方法は、揺れが直接伝わらなくなるため、棚の転倒や機械の移動など、建物内の被害を大幅に減らすことができます。建物の基礎や土台から作り替える必要があるので、工事が大掛かりになります。
  • 制振
    制振とは、建物にダンパーなどの制振部材を組み込むことにより、地震の揺れを吸収する対策です。主に高層ビルなどで採用されています。制振による地震対策は、基本的には新築やフルリノベーション時などに採用する方法で、後付けの地震対策としては難しい手法です。
  • 耐震
    耐震は、太く頑丈な柱・梁にするなど、建物が地震の揺れに耐えられる構造にする対策です。免震構造や制振構造と比べると、後付けも簡単で、改修費用が安くつく場合が多いです。「地震のエネルギーは直接建物に伝わり、それに耐える」という考えのものですので、上記二つと比較すると建物内部の損害は大きくなることが多いです。

 

建物そのものへの地震対策は、上記のような手段を用いて行います。なお、日本国内の耐震基準については、1981年6月を境に大きく変更されています。1981年6月以降は、新耐震基準と呼ばれていて「

震度6強、7程度の地震でも倒壊・崩壊しない

」というのが基準となっています。これ以前の耐震基準は、「震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造」が基準となっていました。

 

日本国内では、震度6を超える地震はそれほど珍しくないという頻度で発生しています。つまり、旧耐震基準をもとに建てられた工場や倉庫の場合、大規模地震で倒壊・崩落してもおかしくないと言えます。したがって、2013年11月に改正耐震改修促進法が施行され、旧耐震基準をもとに建てられた建築物の一部は、法律により耐震診断が義務付けられています。

 

耐震診断が義務となる建物の対象などについては、特殊倉庫建設のRisoco「

古くなった工場や倉庫の地震対策と義務化される「耐震診断」について!

」でご紹介していますので、そちらもご参照ください。

 

なお、建物そのものの地震対策については、建物を補強する工事以外にも以下のような対策が考えられます。

 

  • 保険を活用する
    耐震診断で何らかの問題が見つかった場合でも、予算やスケジュールの問題などから、すぐに耐震補強工事を行えないケースも考えられます。この場合には、保険などを活用することで、災害リスクのカバーが期待できます。
  • リスク分散をする
    日本国内でも、地域によって地震の発生リスクは異なります。したがって、大規模地震の発生リスクが高いと言われている地域の工場や倉庫は、業務の一部を移転するなどしてリスク分散をするのも一つの地震対策です。特に、高額製品を保管する部門や、高額な機械・設備を運用する部門は、可能な限り災害が起こりにくい場所に移すことを検討すると良いでしょう。

 

 

施設内部での地震対策

工場や倉庫の地震対策では、建物自体の補強に合わせて、施設内の安全を確保するための対策を行っていかなければいけません。地震の揺れによって商品を保管している棚が倒れたり、大型機械が移動するなどといった被害が考えられ、さらに転倒や移動の影響で人的被害が引き起こされる可能性もあります。

 

したがって、以下のような対策を行っておきましょう。

  • 棚や大型機械を壁や床に固定し、転倒・移動を防ぐ
  • 棚同士を連結する
  • 耐震ベルトを利用して、ラック内の機器や物品を固定する
  • 落下防止バーや落下防止ネットを設置し、棚から商品が落下するのを防ぐ
  • 商品の落下などがあっても、避難経路を塞がないようなレイアウトにする
  • 災害発生時の行動を決め、従業員に周知しておく

 

 

まとめ

今回は、工場・倉庫で実施すべき地震対策を解説しました。

 

工場や倉庫の地震対策のことを考えると、「地震が起きても大丈夫な頑丈な建物にする」「地震が起きても設備の移動や落下が起きないようにする」など、事前に対策を施しておくことが非常に大切です。

 

特に、1981年5月31日より前に建てられた施設は、現在の耐震基準を満たしておらず、震度7クラスの地震が発生した場合、建物の倒壊など甚大な被害が生じるリスクがあります。まずは、専門業者に依頼して、耐震診断と必要であれば建物の耐震補強を行うのがオススメです。

 
倉庫・工場リフォーム・改修工事に関する詳細はこちら

 

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倉庫・工場の耐震基準と耐震性を向上させる方法を構造別に解説

この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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