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工場火災対策について事業継続の視点で対策強化と定期的なメンテナンスを

2023年 RENOVATION

工場火災対策について事業継続の視点で対策強化と定期的なメンテナンスを

火災にあった工場

 

国内の製造施設では、2016年以降、国内の火災件数が減少および横ばいの傾向を示す中、工場・作業場の建物火災件数については緩やかな増加傾向を示しています。もちろん、火災発生の原因はさまざまなことが考えられますが、適切な事前対策を怠っていた場合、火災による被害が拡大してしまい、事業継続が困難になるような事態に見舞われてしまうケースも考えられます。したがって、火災による被害を最小限に抑えるための徹底した火災対策が重要になります。

この記事では、事業継続の視点で企業や工場が行っておくべき火災対策について解説していきます。なお、この記事の最後には、中小企業庁が公表している「BCPの有無による緊急時対応シナリオ例」の製造業編もご紹介しますので、ぜひ最後までご参照ください。

 

参照資料:工場の火災・爆発事故の傾向について

 

火災対策の基本ポイント

それではまず、工場や企業、作業場がおさえておくべき、火災対策の基本的なポイントをご紹介します。

 

火災発生の可能性が高い場所を把握する

一つ目のポイントは、工場の中でも「火災リスクが高い場所」を確認することです。例えば、「危険物を保管している」「火を取り扱う」といった場所は、通常よりも火災発生の可能性が高くなりますので、工場内のそういった場所を特定し対処する必要があります。特に、危険物を取り扱う施設であれば、危険物の保管場所や製造場所付近に、着火や延焼の恐れがあるものはないか、慎重に確認しなければいけません。

この他、事務所部分についても火災発生リスクが高い場所の確認が必要です。基本的に、事務所には危険物に指定されるような物品を保管することは無いため、火災の心配はないと考え、確認を怠ってしまうケースがあります。しかし、給湯室のガスコンロや、喫煙室、石油ストーブなどが設置されている部屋などは、火災リスクが高くなります。

 

消防設備などの確認

二つ目のポイントは、消防・防火設備のチェックを行っておくというものです。工場などの大規模施設では、消防法によって定められたさまざまな消防設備が導入されているはずです。したがって、まずは、法令に沿った設備が適切に設置されているのか確認します。そして、万一の際に、そういった消火・防火設備が適切に動作しないなんてことが無いように、定期的な動作チェック、メンテナンスが必須となります。

なお、消防・防火設備の点検などについては、基本的に防火管理者が行うことになります。消防法では、収容人数や延べ床面積により、防火管理者の選任・届出を義務付けていますので、選任が必要であれば、早急に決定しましょう。

 

火災発生による被害想定額を算出

最後は、万一、工場で火災が発生した場合、どの程度の被害になるのかをあらかじめ想定し、被害想定額の概算を算出しておくというものです。もちろん、被害の程度によって、実際の被害額は大きく変わってきますが、概算でもその額が想定できていれば、対策として予算を組んでおくことができ、火災からの早期復旧が可能になります。

 

火災を想定して行っておくべき対策

それでは、実際に火災が発生した時に、適切な行動が行えるようにするための火災対策について解説します。火災というものは、いつ・どこで発生するのか、基本的に予測することができません。そのため、被害を最小限に抑えるためには、事前に対策を十分にとっておき、万一の際に適切な対処が行えるようにしておくことが大切になります。

ここでは、実際に火災が起きてしまった時、被害を最小限に抑えて早期復旧を実現するための対策をご紹介します。

 

  • 避難訓練

    実際の火災を想定した避難訓練は、体験を通じて危険な場所や状況を知識として得ることができますし、必ず定期的に行っておきましょう。ただ、毎回同じような内容の訓練を行った場合、緊張感がなくなり、意味のない訓練になってしまいます。したがって、避難訓練を行う時には、専門家や消防署などの協力を得て、常に緊張感を持てるような状況を作る工夫も必要です。

  • 消防設備などの点検・メンテナンス

    避難訓練に合わせて、いざという時に消防・防火設備がきちんと動作するのか点検を行いましょう。いくら消防設備を設置していたとしても、それらが適切に動作しないのであれば、何の意味もありません。消防・防火設備は、機器ごとに必要なメンテナンスが異なりますので、その辺りも計画的に行いましょう。

  • 火災発生時の担当を決めておく

    火災発生時には、初期消火、適切な通報、火災発生の事実を周囲に周知するなど、適切な初動が行えるのかどうかが被害を抑えるためのポイントになります。実際に、いざ火災が発生した時には、パニックになり慌てて何もできないという方は多いはずです。したがって、そういった事態に陥らないようにするため、火災対策本部を設置し、あらかじめ火災発生時に誰が何をするのかの担当を決めておきましょう。そして、火災対策本部が先頭に立ち、火災時の行動指針や避難計画を立てていくのが良いでしょう。

  • BCP策定

    火災による被害を最小限に抑えることや、事業の早期復旧を考えた場合、BCPの策定が非常に重要になります。例えば、火災によって工場が操業停止になったとしても、代替え製品の製作を依頼できるような協力会社を見つけておくことや、重要書類の保管方法を検討するなど、事業を継続していくための対策の策定を行っておきましょう。

 

火災で想定される被害と製造業のBCPについて

それでは最後に、実際に工場で火災が発生した際、どのような被害が想定できるのかについて解説します。多くの人員が働いているうえ、可燃物が多く保管されている工場で火災が発生した場合、多岐にわたる被害が生じると想定できます。

 

  • 人的被害

    火災による被害として真っ先に思い浮かぶのは、火災から逃げ遅れてしまい、従業員が火傷などの怪我を負う人的被害です。最悪の場合、大切な従業員の死亡事故につながるリスクまであります。さらに、敷地外にまで火災が拡大してしまうと、近隣住民が巻き込まれてしまう可能性も考えられます。

  • 建物の損壊

    火災が激しく、消火が上手くできない状況になると、建物の損壊という被害が考えられます。特に、危険物などを取り扱う施設であれば、火災によって爆発が起こり、建物が全壊してしまうリスクもあります。

  • 重要書類、設備の消失

    工場内には、契約書、帳簿類、請求書などの重要書類が保管されています。また、製造面で考えると、多くの製造機械や重機、商品などがありますので、これらが消失してしまうリスクがあります。そして、こういった事業継続のために重要な物品の消失により、事業再開が困難になってしまうことも考えられます。

  • 消火活動による影響

    適切な消火活動によって火災の拡大を防げたとしても、消火活動による『水害』によって、製造設備がダメになってしまうケースも少なくありません。さらに、消火によって建物が高湿状態になることで、急激にサビや腐食が進行し、重要設備が故障してしまうことも考えられます。

  • 周辺に悪影響をおよぼす

    工場で取り扱っている製品によっては、火災によって異臭を発する場合もあります。そうなると、工場内だけの問題ではなく、周辺地域にも異臭が拡散してしまい、最悪の場合、大きな健康被害を引き起こしてしまう恐れがあります。もちろん、火災が近隣住宅にまで拡大してしまうことも考えられるなど、周辺に大きな悪影響をおよぼしてしまうリスクがあります。

  • 損害賠償リスクが生じる

    火災原因にもよりますが、延焼により近隣住宅や周辺企業にまで火災が拡大した場合、損害賠償が発生する可能性があります。また、企業には労働者の安全を配慮する義務がありますので、火災対策を怠っていたなど、安全配慮義務違反があったとみなされた場合、従業員から損害賠償を請求されるケースもあるでしょう。

 

工場で火災が発生した場合、上記のようにさまざまな被害が想定できます。さらに、火災から早期に復旧できなければ、取引先にも多大な悪影響を与えてしまうことになり、自社の信用を失ってしまう可能性もあるでしょう。

そのため、万一、火災が発生したとしても、事業継続・早期復旧を実現するためのBCPの策定が非常に重要になります。以下に、中小企業庁が公表している、製造業での、火災に対するBCPの有無による緊急時対応シナリオ例を引用しますのでぜひ参照ください。

 

BCPの有無による緊急時対応シナリオ例:製造業(火災)

 

  BCP導入なし企業 BCP導入済み企業
想定

●自動車用部品等のプレスメーカー(従業員30名)。

●夜間、工場の通用口付近で不審火と思われる出火あり。

当日

●周辺住民が火災を発見。119番通報する。

●消防隊が到着、工場建屋が半焼する。

●深夜になって消防署から社長宅に連絡が入る。

●火災と消火水により、パソコンが損傷し、重要データが喪失。

●周辺住民が火災を発見。119番通報する。日頃の交流があったため、住民から社長の自宅に電話連絡が入る。

●消防隊が到着、工場建屋が半焼する。

●社長と会社幹部が現場に駆け付ける。重要顧客への連絡、周辺住民へのお詫びを手分けして行う。

●火災と消火水により、パソコンが損傷し、重要データが喪失。

数日間

●翌日から被災状況を調べ、後片付けを始める。

●顧客から、受注済みの部品の納期を尋ねられたが、目処が立たないと答えるのみ。

●1週間後、同顧客から発注を他会社に切り替えたとの連絡あり。

●データのバックアップが無かったので、その再構築に2週間を要す。

●翌日、被災状況を調べ、復旧の目処を顧客に連絡。

●復旧までの間、協力会社に代替生産を要請。

●データのバックアップを取り耐火金庫に保管していたので、システムは直ぐに復旧。

数ヶ月間

●3週間後、金融機関から融資を受けて生産設備は復旧するも、受注は戻らず。

●会社の規模を縮小、従業員の7割を解雇。

●2週間後に全面復旧。

●建物と設備の復旧費用の大半を火災保険でカバー。

 

引用:中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針より

 

シナリオのようにBCP策定済みの企業は、代替品の製造を協力会社に依頼することや、重要データなどのバックアップを保管していたことから、早期の復旧が実現しています。

 

まとめ

今回は、事業継続の視点で、企業が考えておきたい工場の火災対策について解説してきました。冒頭でもご紹介しましたが、さまざまな最新テクノロジーが導入され、生産性の向上だけでなく安全性も高くなっていると考えられる工場ですが、消防白書によると、実は2016年以降、工場・作業場の建物火災件数については緩やかな増加傾向を示しているとされています。

 

工場で大規模火災に発展してしまうと、その被害総額は莫大なものとなります。万一火災が発生したとしても、被害を最小限に抑えるための火災対策や事業の継続・早期復旧のためのBCP策定がまだの企業は、是非早めの対策をご検討ください。

 
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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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