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倉庫増設時の注意点。知らぬ間に違法建築になる可能性も

2022年 RENOVATION

倉庫増設時の注意点。知らぬ間に違法建築になる可能性も

 

今回は、倉庫の増築を検討している事業者様に向けて、既存施設に手を加えたことが原因で、違法建築になってしまう要因を簡単に解説していきます。

 

一般的に「倉庫」というと、物品を保管したり貯蔵したりするための建物で、EC市場が拡大を続ける近年では、大量の商品を保管できる大規模倉庫が求められるようになっています。そのため、倉庫業界では、いくつかの倉庫を一つの巨大倉庫に集約して、保管効率や業務効率の向上を目指すといった対策が行われるようになっています。
また、物流拠点の集約以外でも、物品の最大保管量の拡大や、最新設備を導入して作業の自動化を目指すといった目的で既存倉庫の増設を検討するケースも多くなっています。増設して倉庫が大きくなれば、その分、保管できる物品は多くなり、売り上げの向上が見込めるというメリットがあるからです。

 

しかし、倉庫の増設については、さまざまな法律の規制を受けてしまうという点を忘れてはいけません。増設したことが原因で違法建築になってしまっているケースが意外と多くあります。そこでこの記事では、倉庫の増設で、どのようなケースが違法建築になるのかをご紹介します。

 

 

そもそも違法建築とは?

違法建築とは、建築基準法や各種条例に違反した状態で建てられた建築物のことで『違反建築物』などとも呼ばれます。こう聞くと、「建築時に建築確認をするのだから、違法建築なんてないのでは?」と感じてしまう方が多いかもしれません。もちろん、倉庫を新築した時点では、建築確認を取得しますので、その段階で違法建築になるようなことはありません。ただ、倉庫事業を進めるうえで「手狭になったから」「設備を導入したい」と考えて、勝手に増改築や用途変更を行ってしまうケースがあり、こういった場合、最終的に違法となる可能性があります。

 

実際に多いと言われている、違法建築の事案は、建ぺい率や容積率がオーバーしてしまうという問題です。建ぺい率は「敷地面積に対する建築面積の割合」を示しており、容積率については「敷地面積に対する建築延べ面積(延べ床面積)の割合」を示しています。どちらも、大きければ大きいほど、物品の保管量が増大しますので、保管量や売上のことだけを考え増設すると、これらをオーバーしてしまうことになるのです。

 

なお、建ぺい率や容積率に関しては、都市計画法で指定される用途地域によって定められています。倉庫の増設を考えた時には、市町村の都市計画課などで調べなければいけません。

 

 

違法建築になってしまう具体的な事例について

それでは、世の中にある違法建築について、どのようなことが原因になり違法建築に至ってしまうのか、いくつか具体的な事例をあげておきます。

 

 

違反例① 建ぺい率・容積率をオーバーする

違法建築で最も多いケースだと考えられるのがこのパターンです。新築した時には、建ぺい率も容積率も規定の範囲内にあったものが、後から、無許可もしくは許可内容と異なる増改築を行った結果、建ぺい率や容積率の規定をオーバーしてしまうというケースです。

 

倉庫の増設などで考えると、既存建物に新たな部分を付け足す以外にも、倉庫として確認申請をしたものの、倉庫の高さに余裕があったため、後からワンフロア増設してしまい、容積率がオーバーしたなどのケースが当てはまります。

 

 

違反例② 確認申請の内容と異なる物を建築

これも意外に多いので注意しましょう。簡単に言うと、「確認申請時に提出した図面と、実際に建築した建物の構造や仕様が違っている…」と言うケースです。

 

例えば、確認申請時に、避難スペースや避難経路などとして設けていた土地について、従業員が増えたことを理由に、その土地に勝手に駐輪場などを設置してしまうといったパターンで違法建築になってしまうケースがあります。

 

 

既存不適格とは

違法建築について調べていると、『既存不適格』という言葉を見かける機会が非常に多いと思います。それでは、違法建築と既存不適格については、どのような違いがあるのでしょうか?

 

既存不適格については、違法建築同様に「現在の建築基準法上では不適格となってしまう建物」であることには間違いありません。ただ、既存不適格の方は、その建物が建てられた当初は、適法状態で建てられているというものです。要は、その当時、きちんと法律に則って建築したものの、後から『法改正が行われた』ことにより、法律に適合しなくなった建物のことを指しています。

 

倉庫を建築する際には、建築基準法や都市計画法などさまざまな法律が関わってくるのですが、こういった法律は時代に合わせてその内容が調整されることが多々あります。実際に、建ぺい率や容積率の面積制限数値は何度も変更されていますし、高さ制限(北側斜線制限の数値)なども変化しています。つまり、過去に適法状態で建築された倉庫でも、現在の法律に照らし合わせると、不適格な項目が多く生じるケースは少なくありません。

 

ただ、こういった既存不適格物件については、違法建築と言う扱いは受けません。もともと法律の基準を守って建てた建物に対して、後から法改正があったからといって、適法状態にしなければならないなどとなると、怖くて建物など建てられなくなってしまいます。日本では、『法令は施行と同時にその効力を発揮するが、原則として将来に向かって適用され法令施行後の出来事に限り効力が及ぶのであり、過去の出来事には適用されない』と言う原則があり、これは『法の不遡及』と呼ばれます。

 

参考:Wikipedia|『法の不遡及

 

 

違法建築と既存不適格の違いについて

違法建築と既存不適格については、全く異なるものだというのは分かっていただけたと思います。既存不適格については、法律に従って建物を建てて、その後増設なども行っていないのに、法改正があったから「法律に適合しなくなった」ものです。つまり、建物の所有者には何の責任もないと言えるでしょう。そのため、既存不適格物件は、建ぺい率、容積率オーバーとなったとしても、罰則などを受けることはありません。ただ、規定をオーバーしている状況なのは間違いありませんし、それ以上に延べ床面積を増やすなど言ったことはできません。

 

なお、増改築や大規模修繕、建て替えを検討した場合には、現在の基準に合わせてリフォームする必要があります。以下に、違法建築と既存不適格の具体的な違いをまとめておきますので、頭に入れておきましょう。

 

 

違法建築 既存不適格
特徴 ・建ぺい率・容積率の基準をオーバー
・無許可での増改築
・無許可での用途変更
・建築時は適法状態
・法改正により建ぺい率や容積率が不適格に
・用途制限が変更になり不適格に
注意点 ・行政から是正勧告がある(罰則も)
・減築しないと増改築できない
・融資が受けられない
・建て替える場合は、現行の制限に従う必要がある
・消防法に抵触する際は勧告あり

 

 

まとめ

今回は、倉庫の増設の注意点として、無計画な増設や用途変更で違法建築になってしまうケースについて解説してきました。倉庫は、顧客の大切な商品を一時的に保管するための施設ですし、売り上げを上げていくためには「どれだけ保管量を増大できるのか?」と言う部分が非常に重要になってきます。そのため、スペースなどに余裕があると判断できる場合には、「もうワンフロア追加できないかな?」と考えてしまうようなケースも少なくないことでしょう。

 

もちろん、こういった倉庫スペースの増設でも、適法状態で行うのであれば、何の問題も生じないのですが、「どういった方法で増設すれば適法なのか?」は一般の方が判断することなどなかなかできることではありません。特に、倉庫などの特殊施設となると、豊富な施工経験を持っている建設会社に相談しなければ、的確なアドバイスを受けることも難しくなるでしょう。

 

現在、倉庫の増設や自動化などをお考えであれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。

 
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この記事の著者

著者 : 辻中 敏

辻中 敏 常務取締役 大阪本店長
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任

改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。

施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者

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