今回は、製品を製造・保管する工場や倉庫における湿度対策についてご紹介します。
日本には四季があり、5月~9月ぐらいにかけては高い気温だけでなく、湿度の高さがさまざまな問題を引き起こします。例えば、高温高湿状態が続くようになる5月の終わりごろになると、テレビの情報番組などで毎朝「熱中症に注意しましょう」などの情報を聞くようになりますし、多くの日本人は「今年も過ごしにくい季節がやってきたな…」と、少し嫌な気持ちになってしまうことでしょう。
しかし、こういった高温・高湿状態というものは、ジメジメした不快感だけでなく、結露やカビなどの発生原因となってしまうなど、工場や倉庫では保管物品への悪影響にも注意しなければならない問題となります。
そこでこの記事では、そもそも工場や倉庫などで湿度対策が必要になる理由や、どういった対策が良いのかについて考えましょう。
工場や倉庫で湿度対策が重要な理由
まずは、工場や倉庫などの大規模施設において、湿度対策が重要と言われる理由からご紹介します。工場や倉庫は、多くの従業員が働く場所ですので、熱中症などの健康被害から人を守るという視点からも湿度対策が大切です。さらに、湿度が高い状態では、少しの温度変化で水蒸気が水滴に変わり、壁や床など様々な場所で結露が発生します。
湿気や結露は保管物品の品質に悪影響を与えてしまう恐れがあるため、適切な温度管理が重要です。
・カビの発生
・ダニや害虫の発生
・建物や設備の腐食・サビの発生
・従業員の健康被害
工場の結露対策にお悩みの方はこちらの記事も併せてご覧ください。
【工場の結露対策】冷蔵・冷凍庫で結露や霜が発生する原因と防止策
工場・倉庫で湿気が溜まりやすい理由
工場や倉庫などの施設は、下記のような理由から、湿気が溜まりやすく結露が発生しやすい特徴を持っています。一般の建築物と比較すれば、工場や倉庫には以下のような特徴があります。
- 間仕切りが少なく空間が広い 工場や倉庫は、一区画の面積が広く設計されますので、空調設備の効きが悪くなる傾向にあります
- 天井が高い 建物内の天井が高いという点も、空調効率が悪くなる傾向にあります。
- 換気効率が悪い 窓が少ない、保管物品の関係で換気が難しいなど、換気効率が悪い施設が多い
このように、工場や倉庫というものは、大規模な施設である上に構造上空気の循環が難しく、湿気が溜まりやすいという特徴があります。したがって、保管物品の品質維持や従業員が安全で健康に働けるような環境を作るためには、適切な湿度対策が必要になると考えましょう。
工場や倉庫での湿度対策について
それではここからは、工場や倉庫における具体的な湿気対策について、いくつかの手法をご紹介します。
①可能な限り換気を心がける
食品工場などは難しいですが、倉庫などの施設であれば、可能な限り窓を開け、空気を循環させるなど、換気するように心がけましょう。一般住宅でもよく言われますが、換気効率を考えた場合、窓やドアを2か所以上開けて、可能であれば対角線上に窓が開いている状態を作りましょう。空気の通り道を作れば、それだけ換気効率が高くなります。
倉庫や工場などは、その構造によって空気がこもりやすくなってしまうので、空気の流れを作ってあげて、小まめに換気を心がけることが湿度対策に有効です。
②ストレッチフィルムで製品を守る
倉庫や工場などでは、顧客の大切な製品を保管しています。そして保管物品によっては湿度に弱い物や湿度から守りたい物も存在します。
そこで、湿度から守りたい保管物がある場合は、荷物全体をストレッチフィルムで覆い、フィルムと荷物の間に産業用除湿剤などを封入して保管しておくという対策を行うと良いでしょう。換気が難しい…など、高湿状態でも湿度から保管物を守ることができます。
③除湿剤・除湿器を利用する
一般住宅などでも採用される手法ですが、倉庫や工場でも除湿剤を設置して、湿度対策を行うという手法は有効です。とはいえ、倉庫や工場は、空間面積が広く、ドラッグストアなどで販売されている家庭用の除湿剤ではあまり効果はありません。したがって、業務用の除湿剤などを用意してください。
除湿器に関しても、工場や倉庫で使用することを想定された業務用のものがありますので、除湿剤では不十分…という場合は、大型の除湿器の導入を検討してください。
④シーリングファンの導入
シーリングファンは、工場や倉庫での熱中症対策や湿度対策に非常に効果的な設備と言われています。
分かりやすく言うと、天井に取り付ける大型の扇風機の事で、大きな羽根が天井でゆっくりと回転することで、室内の空気が循環するようになり有効な湿度対策となるわけです。なお、シーリングファンメーカーの公式サイトなどでは、天井にシーリングファンを導入し、送風することで、従業員の体感温度が「5℃」も下がると紹介されており、熱中症対策としても非常に有効な設備と言えます。
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まとめ
今回は、工場や倉庫における湿度対策についてご紹介してきました。高温多湿になる梅雨時期から夏にかけては、湿気によって保管物がさまざまな悪影響を受けてしまう…ということが工場や倉庫の悩みになるでしょう。湿気は、カビの繁殖や結露の発生などを招いてしまう恐れがあり、何の対策もしなければ大切な商品がカビだらけになってしまう…なんてことも考えられます。
この記事でご紹介したように、工場や倉庫などの大規模施設は、そもそも構造的に湿気がこもりやすい特徴がありますので、保管物を守るためには湿度対策が必要不可欠です。
1990年三和建設株式会社 入社、2021年同社 専務取締役就任
改修工事は新築以上に経験が求められます。これまでの実績で培ったノウハウを惜しみなく発揮いたします。 特に居ながら改修については創業以来、大手企業様をはじめ数多くの実績があり評価をいただいています。工事だけではなく提案段階からプロジェクトを進める全てのフローにおいて、誠実にお客さまに寄り添った対応を行い、 安全で安心いただける価値を提供いたします。
施工管理歴15年、1級建築施工管理技士、建築仕上げ改修施工管理技術者