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今のコンクリートがなぜだめなのか?

コンクリートの加水問題

工事現場から少し離れた路上に停まっているコンクリートミキサー車に水が加えられている写真が新聞記事に載って問題となったことがあります。いわゆるコンクリートの加水問題です。

配合されたフレッシュコンクリート(打設前の生コンクリート)に水を加えると、コンクリートの水セメント比(水をセメントで除した数値)とともにコンクリートの強度が低下します。コンクリートの品質に重大な悪影響を及ぼす行為であり、決してしてはならないことだとされています。加水は一種の手抜き工事です。

にもかかわらず、なぜこのような加水問題が発生するのでしょうか?

一般に手抜き工事は、コストダウンに行われます(それがたとえ不正な手段であっても)。しかしながらコンクリートへの加水は、必ずしもコストダウンのためだけというわけではありません。

むしろコンクリートの打設にとって、フレッシュコンクリートの固さが障害になると考えられているからです。 固いコンクリートは型枠内に充填しにくく、施工不良につながりやすい。だからこそ水を加えてでも(それが不正な手段であり、重大な欠陥を引き起こす行為であっても)、コンクリートを施工しやすい、すなわち軟らかい状態にしたいのでしょう。
ここにコンクリート打設の本質があります。

軟らかいコンクリートはひび割れを招く

コンクリートがひび割れを起こすメカニズム

コンクリートは、水とセメントと骨材を混ぜ合わせて構成されています。フレッシュコンクリートが型枠内に充填された後、時間が経過すると水とセメントが水和反応を起こして硬化が始まります。硬化のプロセスの中で水とセメントが結合していくわけですが、一定の時間が経過して硬化が進んだのちでもセメントと結合しないまま残っている水分があります。これを余剰水と呼びます。

余剰水は空気中に蒸発していきます。この蒸発の過程でコンクリートが収縮し、コンクリート内部でひび割れを発生させるのです。したがって、この余剰水をいかに少なくするかが、ひび割れをなくす重要なポイントとなります。

スランプ値が大きいと、余剰水も多く、柔らかいコンクリートに

一般的に施工されているコンクリートのスランプ値は18です。
スランプ値とは、フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す数値で、値が小さいほど固いコンクリートとなります。スランプ値が大きな軟らかいコンクリートには水が多く含まれています。
前述のとおり、余剰水の多い軟らかいコンクリートはひび割れを多く招きます。

スランプ値とは

フレッシュコンクリートの軟らかさの程度を示す数値で、小さな数値ほど水が少なく固いコンクリートとなります。

単位水量170kg/m3以下、スランプ12cm以下のいわゆる固練りコンクリートを、型枠内に丁寧かつ密実に充填させ、打設後には保水養生を行うことにより、高密度・高強度・高耐久のコンクリートをつくることができます。

スランプ値の低いコンクリートは余分な水が少ないので、乾燥収縮によるひび割れが起きにくく、密度が大きいコンクリート構造体をつくることができます。

打設後は、コンクリートに対し散水等の養生を徹底し、コンクリート中の水分が急激に失われるのを防ぎます。

コンクリートのひび割れがもたらす問題点

コンクリートのひび割れ

コンクリートに生じるひび割れは、構造物に対し次のような問題点を引き起こします。

  • 美的外観を損なうこと
  • 構造物内に漏水を許すこと
  • 断面欠損によって構造体力(建物の強度)を損なうこと
  • コンクリート内部への塩分・二酸化炭素類の侵入を許し鉄筋の腐食ひいては構造物耐力を奪うこと

このように、コンクリートのひび割れは、建物の価値を大幅に下げることにつながるといっても過言ではありません。これによって、十数年しか持たないケースも考えられます。