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深刻化する人手不足に対応!建設業界で進む週休2日制(土日祝休み)の導入

投稿日 : 2025.12.09   RENOVATION

深刻化する人手不足に対応!建設業界で進む週休2日制(土日祝休み)の導入

深刻化する人手不足に対応!建設業界で進む週休2日制(土日祝休み)の導入
 
人手不足が深刻な建設業界でも、週休2日制の導入に向けた動きが活発化しています。
 
これは、働き方改革の一環として2024年4月に適用が開始される時間外労働の上限規制、いわゆる2024年問題への対応が主な目的です。しかし、週休2日制の導入は、従業員の労働環境改善による生産性の向上や、企業イメージアップによる人材確保といった多大なメリットが期待できるため、大手企業を中心に導入が進んでいます。
 
ただし、建設現場で週休2日制を実践するには、解決すべき様々な課題があるという指摘もあります。そこで本記事では、建設現場で週休2日制が求められるようになった経緯、現在の導入状況、そして今後の課題について解説します。
 

建設業界で週休2日制が導入されるようになった背景

建設業界で週休2日制が推進されるようになった背景には、主に以下の二つの大きな要因が考えられます。一つは、国全体で推進されている働き方改革による建設業界の「2024年問題」への対応です。二つ目は、今後さらに深刻化すると見込まれる担い手不足と高齢化の進行です。
 
ここでは、それぞれの問題について詳しく解説します。
 

建設業界の2024年問題について

建設業界における週休2日制導入は、国を挙げて取り組まれている働き方改革が大きく影響しています。
 
2019年4月の労働基準法改正により、時間外労働に罰則付きの上限が設けられましたが、建設業界は業務の特殊性や取引慣行の課題が考慮され、5年間の猶予期間が設定されていました。しかし、2024年4月からは、建設業界でも「年間360時間(特別条項を適用した場合720時間)」の残業規制がいよいよ適用されます。この上限を超過した企業には罰金などの罰則が科されます。
 
建設業界は、他の産業と比較して年間労働時間が長く、出勤日数が多いという特徴があります(注:国土交通省資料でも全産業と比べ年間の総実労働時間が長い現状が示されています)。このため、労働者数が変わらない状況で残業時間のみを減らそうとすれば、人手不足問題はさらに深刻化すると懸念されています。そこで、建設業界では「過酷な労働環境」というイメージを払拭し、新たな人材の確保を目指して、労働環境の見直し、すなわち週休2日制の導入などが進められているのです。
 

人材不足と高齢化

日本全体で少子高齢化が深刻化しています。国土交通省の調査によると、2022年の建設業就業者数は479万人であり、ピークだった1997年(685万人)から約30%も減少しています。
 
さらに、建設業界では高齢化が非常に深刻です。同じく国土交通省の資料によれば、建設業就業者に占める55歳以上の割合は約36%に上る一方、29歳以下は約11.7%にとどまっています。これは、全産業平均(55歳以上が31.5%、29歳以下が16.4%)と比較して、高齢化が進んでいることが明確に分かります。2025年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となることから、生産年齢人口の減少は今後さらに深刻化していくと予想されます。
 
建設業界における人材不足と高齢化問題を解決するには、若年層の離職防止と、建設業界が選ばれる就職先になることが極めて重要です。そのため、適切な労働環境の整備、具体的には週休2日制の導入が必要不可欠であるとされ、推進されています。
 
参照:国土交通省資料
 

週休2日制導入の意義と現状

建設業界では、前述の課題を解決する有効な手段の一つとして、週休2日制の導入に注目が集まっています。ここでは、企業が週休2日制を導入する意義と、現在の導入状況について解説します。
 

週休2日制の意義

週休2日制導入の主な意義は、労働環境の改善を通じた企業イメージの向上と若手人材の参入促進にあります。
 
週休2日制が導入されれば、従業員は十分な休息が取れるようになります。その結果、健康面の問題が軽減され、企業として生産性の向上が期待できます。また、しっかりとした休暇により、家族との時間や趣味の時間が増え、従業員の仕事へのモチベーションが向上し、質の高い仕事につながるでしょう。
 
近年、若い世代はワークライフバランスを重視する傾向があります。このため、「過酷な労働環境」というイメージが根強い建設業界は敬遠されがちで、それが人手不足や高齢化の一因となっています。したがって、建設業界が週休2日制を導入することで、「働きやすさ」や「ワークライフバランス」を重視した企業であることをアピールでき、若手世代の参入が促進され、結果的に人手不足の解消につながると期待されています。
 

建設現場における週休2日制の現状

建設業界における週休2日制の導入は、大手ゼネコンや一部の中堅企業を中心に、土曜日と日曜日を休業とする事例が増えており、建設業界の働き方改革の具体的な成果として注目されています。
 
また、本年(2025年)7月には、建設大手などが加盟する日本建設業連合会(日建連)が、「2035年度までに全ての工事現場を土日祝日休みとする」という長期目標を発表しました。これは、時間外労働の上限規制適用と並行して、業界の人手不足の解消と働き方改革を進めることを目的としています。なお、現時点では、週休2日制の導入が法律などで義務化されているわけではありませんが、国も「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト」を設け、国土交通省直轄土木工事においては週休2日工事の取り組みを順次拡大しています。
 
ただし、建設現場での週休2日制導入は、天候や進行スケジュールの都合などから、導入が難しいケースも存在します。天候不良などで工事が中断した場合、スケジュールがずれ込み、それを補うために休日返上での作業が必要になる場合があるからです。
 
このほかにも、建設現場で働く労働者にとっては収入が減ってしまう、企業側にとっては人件費がかさむ恐れがあるなど、業界全体での完全導入までには解決すべき多くの課題**が残っているのが現状です。次項で、建設現場で週休2日制を導入する際の具体的な課題について解説します。
 
参照:日本建設業連合会資料
 
参照:国土交通省「働き方改革・建設現場の週休2日応援サイト
 

建設現場における週休2日制の課題

それでは最後に、建設現場において週休2日制の導入を難しくしているいくつかの課題についてご紹介します。
 
週休2日制の導入は、建設業界が抱える人手不足や高齢化などの問題を解決するための非常に有効な手段だと考えられています。しかし、以下のような課題については、今後何らかの対応策が必要になるとされています。
 

作業員にとっては「収入が減る」可能性がある

建設現場で働く作業員は、日給月給制度となっているケースが少なくありません。そのため、週休2日制が導入されると、単純に勤務日数が減るため、収入が減少する結果になる可能性があります。
 
週休2日制のメリットは、十分な休息や家族・趣味の時間が取れることで、作業者のモチベーションが向上する点にあります。しかし、休みが増えても収入が減ってしまえば、従業員のモチベーションを維持することは困難になります。
 
したがって、週休2日制の導入には、これと並行して労務単価の引き上げや、年収減少分の補填など、作業員の年収を維持するための措置が課題となります。
 

工期へのしわ寄せが課題

建設現場への週休2日制の導入は、工期へのしわ寄せが出てしまうことが大きな課題です。
 
例えば、これまで週休1日だった現場が、同じ工期で週に2日間閉場することになれば、稼働日に遅れる分の作業を上乗せして進行させなければなりません。この場合、休日を補うだけの作業時間を確保するために、より多くの人員を確保する必要が生じ、企業側にとっては人件費がかさむ恐れが出てきます。
 
建設業界には、「休みは週1日」という長年の習慣があり、それを前提とした工期設定がなされている場合が多いです。そのため、週休2日制の導入時には、業界ならではの構造や習慣が課題となる可能性があります。
 

人材の確保が課題となる

前述のように、建設現場での週休2日制の導入は、稼働日が減ることを意味します。そのため、これまで通りの工事を決められた期間内で完了させるためには、より多くの人員が必要になります。週休2日制の導入で休みが増えたとしても、その代わりに稼働日に激務が強いられるようになれば、建設業界のイメージ向上など実現するはずがありません。場合によっては、「週休2日になる前よりも忙しくなった」などと、業界の印象がより悪くなる恐れすらあります。
 
したがって、週休2日制の導入には、人員を増やすことで対処するか、あるいは工期を延ばすといった対処が求められます。このうち「人員を増やす」という手法は、現状の建設業界ではなかなか難しいと言わざるを得ません。週休2日制の導入は、「建設業は過酷」といったネガティブなイメージを払拭することで若手人材の参入を促進させることが目的ですが、現状はまだネガティブなイメージが根強く残っているため、人材の確保が大きな課題となるわけです。他にもIT化の推進による負担軽減も考えられますが、技術の進化が追いつくまでには、もうしばらく時間がかかると考えられます。
 

「義務化」ではないため、導入が進まない可能性も

最後は、週休2日制の導入を見据えた課題ではなく、建設業界全体における週休2日制の取り扱いに関する課題です。
 
先程述べた通り、建設業界での週休2日制導入は、業界団体や国が推進しており、働き方改革の重要な施策の一つと見なされています。しかし、現時点では、週休2日制の導入が義務化されたわけではなく、これを採用しなくても罰則などが課されるわけではありません。そのため、企業によっては週休2日制の導入を検討しない可能性があるという点が課題となってきます。
 
もちろん、週休2日制を導入する建設企業が増えていけば、工期の設定を合わせていかなければならないため、現状導入を予定していない企業でも、導入が進む可能性はあると考えられます。
 

三和建設の週休2日制への取り組み:新築現場での「完全週休2日」達成

三和建設では、建設業界の働き方改革に先駆けて、作業所の土日祝閉所の取り組みに着手してきました。その結果、2024年1月~3月の3ヶ月間連続で、稼働中の新築11建設現場において「土日祝の完全閉所」を達成しています。
 
一般的な建設現場では、土曜稼働の代わりに平日振替休日で対応する「4週8休」が主流ですが、それでは協力会社様や弊社社員が真に休むことは難しいのが実情です。そこで三和建設は「土日祝日の完全閉所」にこだわり、以下のような改革を行ってきました。
 

  • 「ブランディング」による受注改革
    得意領域(食品工場建設「FACTAS®」など)を確立し、お客様から選ばれる存在になることで、余裕を持った工期で工事を請け負うことが可能に
  • 徹底したDXと効率化
    BIM(3次元モデル)の活用やRPAによる業務自動化、20時以降のPC強制シャットダウンなどを実施し、限られた時間で成果を出す体制を構築

これらの取り組みにより、29歳以下の社員比率が30%超(業界平均11.7%)へ増加。全社員の平均残業時間も、取り組み開始前の2020年比で約2割削減(23.6時間/月)を実現しています。
 

まとめ

今回は、建設現場における「土日祝休み(週休2日制)」の導入について、なぜ業界で週休2日制の導入が進められているのか、またどのような点が課題となっているのかについて解説しました。
 
記事内でご紹介したように、建設業界では、働き方改革への対応や人手不足・高齢化問題の解決を目的として、週休2日制の導入が必須となりつつあります。しかし、週休2日制の導入には、作業員の収入減少や企業側の人件費の増大リスクなど、いくつかの課題が残っているのも事実です。
 
今後、建設業界において週休2日制の導入を推し進めていくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などにより工程管理や施工管理の効率化を図ることで、短時間でより高い生産性を発揮できる対策などが求められるでしょう。また、建設業界ならではの構造や長年の習慣を業界全体として見直していくことも大切になります。

この記事の著者

川口 秀夫

川口 秀夫 執行役員 大阪本店長
1993年三和建設株式会社 入社 2022年同社執行役員就任

改修工事はお客様の要望(生産との調整や予算)に応じて、段階的に工事を進めることも可能です。
お客様が手に入れたい価値を、我々の経験や提案でお手伝いいたします。
一生涯のパートナーを目指しますのでお気軽にお声がけください。

施工管理歴13年、1級建築施工管理技士、建築積算士

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