建築計画お知らせ
これから建設が始まろうとしている更地に「建築計画のお知らせ」などの標識が設置されているのをご存じだろうか?建築物の規模や地域に応じて特定行政庁が条例で定めているルールである。計画段階であらかじめ近隣住民に計画内容を通知して、事前の話し合いにより紛争を極力回避することが目的である。この標識には、階数や面積などの計画概要や事業主・設計者・施工者などの氏名・連絡先が記されている。
先日、茨木市で計画中の賃貸マンション案件の現場に「建築計画のお知らせ」標識を設置した。しばしの日数が経過したのち、次のようなメールが突然届いた。
『ご無沙汰しております。建築予定の看板にお懐かしい名前があったのでメールしました。
実は、私の家が現場のすぐ北の×××なので、「高い建物が建ったら」 と心配しておりましたが・・・(以下、計画の内容に関するコメント。クレームではない。)』
一瞬考えたが、すぐに思い出した。2年前にお世話になったお客様(法人)の責任ある立場の方であった。その案件では、当社の力不足で結果としてお客様にご迷惑をかけてしまった。にもかかわらず、上記のようなご連絡をいただき大変恐縮した。と同時に大変うれしくも思い、下記のメールを返信した。
******************************************************************************
××社 ××様
ご無沙汰しております。
大変奇遇なご縁に驚きました。と同時にこのようにご連絡いただき大変うれしく思います。
貴社×××の件では、力及ばずご迷惑をおかけしました。
当該物件は現在設計中です。「ルネス工法」という収納スペースや設備配管スペースを床下に設ける工法を採用した賃貸マンションです。遮音性・収納性・可変性に優れた工法で入居者やオーナー様にも喜んでいただいています。
http://www.sgc-web.co.jp/house/sanwa/renace.html
自社PRはこれくらいにしまして・・・
工事中は近隣住民様になにかとご不便をおかけするかもしれませんが、なにとぞよろしくお願いいたします。
今後もし××様のお力になれることがあれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
******************************************************************************
人の縁とは不思議なものである。お客様には理屈抜きで誠意をもって接し、せっかくのご縁を大切にしていきたいと思う。
谷 直人
- 2011年2月26日
三和建設の環境ソリューション
我が三和建設においても、流行に遅れをとらない為かどうかは別にして昨2010年初より建設業における環境ソリューションの位置付について諸々検討研究を重ねてきた。その中で、いったい環境ソリューションとは如何なる物か、この場を借りて整理してみる事にする。
まず、そもそも今何故環境にソリューションが必要なのか?ソリューションとは何?これらの疑問から紐解いていこう。ソリューション(SOLUTION)GOO辞書によれば「解決, 解明,解決法」等となる。だから環境ソリューションとは、環境の何かを解決したり、解決法を見付け出したりする事。裏を返せば、環境には解決しなければならない何か問題が有るって事に他ならない。
話はそれるが、皆さんは今日の環境問題と高度成長期に日本に吹き荒れた公害問題の違いを明確に区別出来ているであろうか。公害問題は特定の企業(群)が犯人でその地域の人々が被害者であった。環境問題は、地球上の人類の大多数が犯人であり、人類を含めた地球その物が被害者なのだ。すなわち、誰もが意識無意識にかかわらず犯人になっており、被害者となっているのである。この点を明確に意識してもらいたい。
今、地球環境が抱える最大の問題(解決すべき課題)は地球温暖化だ。正確には大気の温度が上昇する事で様々な異常気象を引き起こし人的・物的・生態系等に大きな損害を与える事象だ。この大気温の上昇が、全くの自然要因で地球自身や宇宙に原因があるならば、対処療法で克服する以外に方法は無いであろうが、どうも犯人は温室効果ガスではないかと言われ、これの放出量を削減する事で大部分が解決するらしい。地球温暖化のメカニズムについては、多くの資料が出回っているので自身で研究いただこう。
以上の事から、今日の大多数の環境ソリューションは、究極温室効果ガスの削減を目指すものとなっている。数ある温室効果ガスの中で二酸化炭素(CO2)が量的にも、与える効果も大きいことから、クリーンエネルギーへの転換やエネルギー消費量の削減(省エネ)が最大のターゲットとなる。
当社の環境ソリューションもその点に着目した。しかし、現実的には闇雲に環境問題を叫び道義的な事例に訴えても耳を貸す人(企業)は少ない。そこで、使用エネルギー量や質を改善し、省エネルギーによって経費を削減する、すなわちコストダウンのソリューションを提案する事で環境改善に寄与しようとしている。
それらを系統的に纏めたのが、三和建設のホームページの中の下記WASEサイトである。WASEの意味についてもサイトを参照いただこう。
http://www.sgc-web.co.jp/wase/index.html
皆さんが、幾ばくかでもエネルギーコストの削減を考えられる時の参考にして頂くとともに、サイト内の無料診断フォームに現況や相談事項などを記入いただき返送いただければ、必ずやコスト削減のヒントが得られるものと確信している。
尚、頂戴した資料の取り扱いについては細心の注意を払い、厳正なる情報管理を誓約します。
注1:ある著名なシンクタンクによれば2015年まではエコノミー(経済性)優先時代2016年からはエコロジー(環境性)優先時代となるそうだ。
- 2011年1月12日
当社史上最大の建築物
昨年10月、当社による設計・施工物件としては史上最大規模の建築物となる"ポップタウン住道オペラパーク東館"がオープンした。百貨店をキーテナントとする鉄骨造5階建て・売場面積19,000㎡・延床面積53,000㎡のショッピングセンターである。主要鉄骨の総数量は約5,200トン、使用したALC版はほぼ10,000枚に達する巨大な建物である。
事業主は、大阪府大東市住道において1972年から商業施設を営んでいる大川創業株式会社。
↓ポップタウン住道オペラパークのウェブサイト
http://pop-town.net/

オペラパークのキーワードは、「スペイン」、「オペラ」、「住道スタイル」である。
なぜ「スペイン」なのかというと、大東市は今から500年前に多数のスペイン人宣教師が伝統活動をしたことにより和と洋の文化が融合した地域として発展してきたからなのだという。
近年のショッピングセンターによく見られる「アメリカ型のアトリウムモール」ではなく、「街角・パティオ文化を活かしたヨーロッパ型のストリートモール」で形成される。
外観もスペイン風を模したデザインとなっており、館内には「オペラパーク八景」と呼ばれるビューポイントを点在させている。

大川創業の大川真一郎会長・大川卓也社長はともに音楽に対する造詣が深い。
オペラパークの名にふさわしく、年数回にわたって館内のプラザフェスタと呼ばれる吹き抜けの空間でクラシックのコンサートが行われ、しばしば会長がクラリネットを、社長がパーカッションを自ら演奏される。プラザフェスタのバルコニーにはパイプオルガンも設置されている(工事中にパイプオルガンの積載荷重を見込むよう指示があった)。
街中でライブが行われることはよくあるが、これほど本格的なアコースティック音楽が、これほど頻繁に行われることはまれであろう。
http://www.youtube.com/watch?v=_trjSoxQnis
施主は建築物へのこだわりも強く現場は苦労したが、その分まことに個性的な建物となった。
将来は、オペラパークの一角にオペラハウスを建設する構想があるという。
まさに常識を超えたショッピングセンター「オペラパーク」の進化はまだまだ続くようだ。
森本 尚孝
- 2011年1月12日
構造計算プログラムは万能?
建築物の構造設計に構造計算プログラムが当たり前のように用いられるようになって20年近くであろうか。
一般の人々から見ると構造計算プログラムとは「建物の骨組を入力すれば部材を計算してくれて、誰がやってもひとつの答えが出てくるもの。」という風にうつっているのかもしれない。また、「プログラムを流して、すべて"OK"と出れば構造設計完了。」というイメージもあるだろう。
ところが実際には、プログラムは構造設計を行うためのツールのひとつに過ぎず、本質は別のところにある。たとえば、プログラムに骨組を入力するには多かれ少なかれ「モデル化」という作業が必要である。この作業は、計算精度のオーダーや安全性や作業手間などを考慮したうえで、設計者の経験や最新の知見に基づき総合的に判断するアナログな作業である。また、建築基準法で想定されている以上の地震動に見舞われた場合にこの建物はどうなるのだろうか?力学的なバランスはいいだろうか?コスト合理性を追求できているだろうか?施工上の問題はないだろうか?などなどプログラムで計算する以前に考えるべきことは山ほどある。構造設計は"計算"ではなくまさしく"デザイン"なのである。
にもかかわらず、あまり深く考えずにプログラムを流してすべて"OK"と出ただけで構造設計完了としてしまい、おまけに確認申請まで通ってしまうというのがプログラム世代の悪い例であろう。手計算を経験している世代では考えられないようなミスをしていたり、非常に考えが浅かったりする。手計算との決定的な違いは、分かっていなくてもプログラムが計算してくれて勝手に答えが出てくる(正解かどうかは別として)ところにある。すべて"OK"と出ただけでなんとなく設計ができた気分になるのである。
上記の負の面とは逆にプログラムのメリットは計り知れない。列記すると次の通り。
①作業スピードが飛躍的に向上した(かつてふたりで2カ月かけていた設計がひとりで1カ月程度のイメージ。CADの効果も含めて。)。
②変更に対する検討が容易になった。
③設計上の様々なシミュレーションを容易にできるようになった。
結論として、プログラムは万能ではなく単なるツールのひとつに過ぎないが、その利便性は最大限に有効活用すべきである。大事なのは設計者が勉強して自らの頭で考え、第三者(顧客・審査者・施工者など)にも説明できるしっかりとしたストーリーを組立てつつ設計を行うことだと考える。
- 2010年12月14日
「赤プリ閉館」と「エス・アイ200」
、東京赤坂に聳え立つ『赤プリ』ことグランドプリンスホテル赤坂である
このホテル、今年の4月に2011年3月の閉館が発表された。その理由は公式発表を引用すると以下のとおり
<施設の老朽化により今後競争力の低下が予想されるが、この維持・強化のためには大規模な改修が必要であり、また当該地区においては、土地等の保有資産の最大有効活用を図るべく、不動産開発を含め、さまざまな検討を行っていく方針であるため>
だそうだ。
このホテルは、1983年3月の開業で、設計は丹下健三氏、施工は鹿島建設であり、その斬新なデザインとコンセプトにより超近代的な超高層ホテルであると、同年4月11日の日経アーキテクチャーは絶賛している。設計の丹下氏も構想から10年の歳月を設計に要したと記載されており、ご子息憲孝氏も「父の自信作」と灌漑深げである。
筆者などは、政経パーティー以外でお邪魔した事もなく、客室がいかように成っているのか全く知らないが、開業以来、『赤プリ』は憧れのホテルナンバーワンであり、多くの芸能人がクリスタルパレスで結婚披露宴を開催したと聞く。
しかしである。これほどのホテルが諸般の事情が有るにせよ28年で閉館・解体(まだ解体するとは決定していないが、超高層ビルの解体も見たい気がする)とは、部外者の野次馬根性では有るが、首を傾けざるを得ない。聞けばホテル自体は黒字経営で客室稼働率も高いそうだ。ホテルとして元が採れたかどうかは知らないが、エコロジーノ観点からすれば、壮大な浪費かつ環境破壊と言えるだろう。
日本を含め世界中に、歴史的・伝統的ホテルは多数あり、少なからず老朽化の問題を抱えている(ニューヨークのプラザも閉館)であろうが、これくらい短命に終わるとは、技術革新のハイスピード化のみでは説明できないであろう。
私見では有るが、これは設計者の思想に責任の一端(いや、かなりの部分?)が有ると言わざるを得ない。この事は、いずれ歴史や建築家の先生方が答えを出されるであろう。
三和建設の「エス・アイ200」は国土交通省が推進する「長期優良住宅構想」に基づいて企画・立案された賃貸向け集合住宅である。
200年以上に渡って時代のニーズに合うようにリノベーションやリフレッシュが可能な設計思想に基づいている。
建築主の皆さまにとっては孫子何代にもその資産を受け継いで頂け、モニュメントとしての価値を見出して頂けるよう日々改善と研究開発をしている次第である。
これは見るからに「さも有りなん」と言えそうだ。関係者の名誉の為に詳細は自身で調べて頂こう。
ヒント:Googl的には「東京上野、池の端」
もうすでに解体後分譲マンションに変身している。
「赤プリ」については、日経アーキテクチャー 2010年10月11日号ズームアップ「閉館近づく『赤プリ』」で関係者に取材しその教訓を考察しているので参考にされたい。
川 端 康 司
- 2010年10月21日