計事(はかりごと)の章 - 建物の設計

流れ橋と震災復興

京都府の久御山町- 八幡市間に架かる流れ橋をご存じだろうか。周辺ののどかな風景に溶け込んでいて、時代劇のロケにもよくつかわれるらしい。個人的には大変気に入っている風景で、気が付けば毎年1回は訪れている。

 

IMG_1550.JPGのサムネール画像

 

 

この橋の構造は、建築の耐震設計の考え方なんかとは違っていて実にユニークである。橋桁が橋脚に固定されておらず、大雨で川が増水した際には流されてしまうことを想定している。増水時に大きな水圧を受ける橋桁を意図的に流してしまうことによって、橋脚を守るという発想である。橋脚が損傷しなければ、すべてが流されてしまった場合よりもスピーディーな復興が可能になる。力で抵抗できる鉄骨造や鉄筋コンクリート造が普及していない時代の人々の知恵であろう。

 

先の東日本大震災で津波の被害にあった街では未だに復興が進んでない。人工地盤で街全体を嵩上げする案や日常生活の利便性を少々犠牲にして高台に街をつくる案(何十年もそこで生活することを考えると大きな犠牲とも言える)などが検討されているが、現時点の技術・コスト・日常生活の利便性のバランスを考えると津波にはハードではなくソフト(日ごろからの逃げる準備)で対応するしかないと思う。さすがに建築物に流れ橋の考え方を取り入れても津波から人命を守ることはできないが、街の復興という観点からすると何らかの形でその考え方を取り入れる価値はあると思う。

 

谷 直人

 

 


  • 2011年10月28日


構造計算プログラムは万能?

建築物の構造設計に構造計算プログラムが当たり前のように用いられるようになって20年近くであろうか。

一般の人々から見ると構造計算プログラムとは「建物の骨組を入力すれば部材を計算してくれて、誰がやってもひとつの答えが出てくるもの。」という風にうつっているのかもしれない。また、「プログラムを流して、すべて"OK"と出れば構造設計完了。」というイメージもあるだろう。

プログラムのイメージ.jpg


ところが実際には、プログラムは構造設計を行うためのツールのひとつに過ぎず、本質は別のところにある。たとえば、プログラムに骨組を入力するには多かれ少なかれ「モデル化」という作業が必要である。この作業は、計算精度のオーダーや安全性や作業手間などを考慮したうえで、設計者の経験や最新の知見に基づき総合的に判断するアナログな作業である。また、建築基準法で想定されている以上の地震動に見舞われた場合にこの建物はどうなるのだろうか?力学的なバランスはいいだろうか?コスト合理性を追求できているだろうか?施工上の問題はないだろうか?などなどプログラムで計算する以前に考えるべきことは山ほどある。構造設計は"計算"ではなくまさしく"デザイン"なのである。

 

にもかかわらず、あまり深く考えずにプログラムを流してすべて"OK"と出ただけで構造設計完了としてしまい、おまけに確認申請まで通ってしまうというのがプログラム世代の悪い例であろう。手計算を経験している世代では考えられないようなミスをしていたり、非常に考えが浅かったりする。手計算との決定的な違いは、分かていなくてもプログラムが計算してくれて勝手に答えが出てくる(正解かどうかは別として)ところにある。すべて"OK"と出ただけでなんとなく設計ができた気分になるのである。


手計算イメージ.JPG


上記の負の面とは逆にプログラムのメリットは計り知れない。列記すると次の通り。

①作業スピードが飛躍的に向上した(かつてふたりで2カ月かけていた設計がひとりで1カ月程度のイメージ。CADの効果も含めて。)。

②変更に対する検討が容易になった。

③設計上の様々なシミュレーションを容易にできるようになった。

 

結論として、プログラムは万能ではなく単なるツールのひとつに過ぎないが、その利便性は最大限に有効活用すべきである。大事なのは設計者が勉強して自らの頭で考え、第三者(顧客・審査者・施工者など)にも説明できるしっかりとしたストーリーを組立てつつ設計を行うことだと考える。

 

谷 直人

  • 2010年12月14日


定期報告制度とは?

一定規模以上の建物には「定期報告」というものが義務付けられている。自動車でいうところの「車検」にあたる。

 

◆「定期報告」の目的は?

「建築基準法」により定められた特殊建築物の定期報告建築設備の定期報告

これらの定期報告は、不特定多数の人々が使用する建築物を適法な状態で維持保全し、人々の安全性を確保することを目的としている。


「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」により定められた定期報告(省エネ法の定期報告

この定期報告は、新築時に省エネ基準をクリアーした建築物がその性能を維持し続けることを目的としている。

 

 

定期報告業務の流れ

 

業務フローのコピー.jpg

◆違反(放置)した場合のリスク

定期報告を行わないもしくは虚偽の報告をした場合、建物所有者(または管理者)は罰則の対象になる(建築基準法では100万円以下の罰金、省エネ法では50万以下の罰金)。

法律による罰則もさることながら、コンプライアンス違反という社会的評価はオーナーにとっては大きなリスクになる。最悪の場合、火災などの事故の際の所有者責任を問われて訴訟に至るケースもある。

 

◆定期報告制度の有効活用

定期報告業務の一環の現地調査において、メンテナンス上の観点を付加することも可能である。上記のコンプライアンス上のリスクを回避することはもちろん、資産である建築物を長きにわたって良好な状態で維持するためにも、定期報告制度を有効に活用することをおすすめしたい。

 

谷 直人


  • 2010年10月 7日


追加変更工事

わが国における建設業の生産性が他の産業に比べて低いとの指摘はかねてより多い。
その理由とされるものは主に次のとおりである。

・単品受注なので標準化・合理化が難しい
・労働集約型生産である
・中小企業が多く経営管理の強化ができていない
・分業および重層下請構造になっている
・参入障壁が低くマーケットの縮小に応じて業者数が減らず過当競争が繰り返される

ビジネスモデル自体を変えない限り、いずれも自社だけでは容易に解決できない問題ばかりである。

私見としてさらに追加すべき理由を挙げてみたい。
それは、追加変更工事の存在である。

わが国の建設工事は契約条件があいまいなことが多く、そのため着工後に追加変更が頻繁に発生する。
契約前にどのような建物を建てるかについて十分な検討を尽くしていないため、工事中にたびたび変更が行われるのである。
本来、工事遂行に専念すべき建設業がこのような作業に時間を取られるのだから生産性が上がるわけがない。
そしてあいまいな契約条件を起点として変更が行われるため、追加変更に伴う金額の算定にも時間がかかり、発注者と請負者の間で認識の齟齬がしばしば生じる。
「追加変更工事代金の回収は建設の永遠の課題」と言われる所以である。

しばしば、「変更」に伴うコストがゼロとされることも、建築の契約における特長であろう。
どんな製品でも契約から変更になれば変更自体のコストが発生するが建築は往々にしてそうではない。
例えば製品の製造開始後に、赤色の塗装を青色に変更することは普通コストアップになるが、建築の世界ではプラスマイナスゼロなのである。変更に要する経費は評価されない。

では、自らこの問題をいかに解決するかと言えば設計図書の完成度を上げることだ。
わが国の設計報酬の相場は安すすぎるため、設計事務所の力でこの課題をクリアすることは難しい。
設計施工を標榜するゼネコンこそが実現できると言えるのである。


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森本 尚孝


  • 2010年10月 1日


庭園迷路と建築のイメージ

ハンプトン2.JPG もう15年以上前になるが英国を訪れた事が有る。そのロンドン郊外にあるテムズ川沿いのハンプトン・コート宮殿を訪れた。広大な宮殿は、その内外とも公開されており、内部の荘厳さと広大な庭園の素晴らしさ(特に花々)に感動を受けた事を覚えている。

 余談だが、その帰路はテムズ川を3,4時間かけてクルーズでウエストミンスターまで戻ったのだが川から見る風景は陸からのそれとは違って、新鮮な発見が有って大変面白かった。日本でも隅田川など各地にクルーズが有るので試される事を勧める。

ハンプトン1.jpg さて、そのハンプトン・コートの庭園の中に上の様な世界的に有名な庭園迷路が有る上空からの写真を見る限りにおいては、それを制覇する事にさほどの困難はないと言うより平易である。しかし、左のようにその中に一旦入るとそこから出る事は容易ではない。要所要所に係員が居て、出口を教えてくれる位だ。それは、全体がイメージできず通路と壁だけで方向感覚もなくなり能がパニックを起こすからだろう。私は何とか独力で脱出したが、相当な苦労と言うよりかなりの距離を歩いた記憶が有る。

 それとそれと同じような事が建築の設計図で起る。一般に設計図は次の構成からなっている。

    ① 仕様書(SPECIFICATION)

    ② 平面図(PLAN) 

    ③ 立面図(ELEVATION)

    ④ 断面図(SECTION)

    ⑤ 詳細図(DETAIL)

    ⑥ 各種設備図(EQUIPMENT)

 設計者はこれらに自身の意図を表現し、施工技術者はそれを読み取り具現化していく。お互い優れた技術者では有るのだが、図面には表現しきれない不明確な部分が多数存在する事がまま有る。この場合施工技術者は、設計者にその意図を確認したり調整したり、又施工図と称する図面を作成する(施工図については、本ブログ内を参照)。

 とまあ、技術者同士の話ではそれで済むのだが、建築の素人たる建築主が自身の発注した建築物を図面からのみイメージする事は非常に難しい。特に完成した時に自身の希望とかけ離れていては、一大事業も水泡に帰する。

 そこで、設計者や施工者は計画や施工中から下の様な、内外パース(左)や模型(右)などを作成し、少しでも建築主がイメージし易い様に注力する。又、コンピューターグラフィックスの技術を駆使した疑似体験ソフトもある。

パース・模型2.png

近い将来、今はやりの3D画像ですべてがイメージできるソフトに発展していくであろう。

 三和建設においては、お客様の夢や希望が具現化で来るよう、初面談から竣工引き渡し・経年メンテナンスまで、詳細なプレゼンテーションと供に密着した営業方針を敷いている。相談事や疑問の解決への橋渡しに利用していただければと思う。

 又、最先端の省エネ技術環境ソリューションについても、豊富な技術の蓄積が有るので気軽にお声掛け頂きたい。

 

川 端 康 司


  • 2010年8月31日


建築工事にまつわる二つの『かんり』

我々のような総合建設業者(いわゆる「ゼネコン」)が、建物を建築する現場で実際どのような仕事をしているのか?という事はあまり知られていない。
漠然とは「建物を造ってるんでしょ?」ということになるが。
原則的にはゼネコンの社員が自ら土を掘ったり、タイルを張ったりなどの作業はしない。
むしろ、してはいけない。
では何をしているのか??
工事担当者は「施工管理」あるいは設計担当者は「工事監理」と言われる『かんり』を日々の業務として実施している。
 
「施工管理」とはいわゆる現場監督さんの仕事であり、ご下命頂いた建物を、ご要望の品質で工期内に予算内で事故無く環境に配慮して最終的に発注者にお引渡しする仕事である。
具体的には
・搬入された資材や現場に取り付けられた成果品は要求された品質を満足しているか?
・工程に遅れはないか?遅れそうならどう対策を打つか?
・工事用設備に危険な箇所はないか?作業員の体調は万全か?
・現場から搬出される廃棄物は適正に処理されたか?
など、日々数多くの『管理』を実施している。もちろん自分自身で作業などしていると『管理』がおろそかになる訳で、そういう意味からも原則的に施工管理者は自ら作業してはならない。
 
では「工事監理」とは何か?
建築工事の契約とは、実物が存在していない段階での契約(請負契約)となる。
その根拠となるのが「設計図書」であり、もちろん、これから施工される建物は「設計図書」どおりに施工されなくてはならない。施工者が設計図書(契約)どおりに建物を施工しているか?それを発注者に代わって監理するのが工事監理者であり、一般的には当該建物の図面を作成した設計者が担うことが多い。具体的には
・施工者と打合せを実施し設計図書の説明をおこなう
・施工者が「設計図書」を元に作成した施工のための図面を承認する
・施工者の施工状況を発注者に報告する
・検査や引渡しの立会いを実施する
などなど。
 
この「施工管理」と「工事監理」は非常に似通った単語であるものの、その業務や立場は全く持って異なるもので確実に区別されるべきものである。我々の業界では会話の中でそれを区別するために「施工管理」を「竹かん」、「工事監理」を「皿かん」などと表現している。
 
当社のように設計施工を得意としている会社では、その異なる立場の「かんり」者を内包しているわけで、一つの建築現場においてはお互いの「甘え」というものが最大の敵となる。二つの『かんり』者間でお互いの立場を尊重しつつ日々議論を交わすことが顧客満足創造に繋がる。裏を返せば、それが出来ずしての設計施工は評価されない。

松本 孝文


  • 2010年8月23日


4つもあるコンクリートの強度

圧縮強度とは文字通り押し潰そうとする力に対する強度であり、鉄筋コンクリート造においてはコンクリートの圧縮強度が構造体全体の強度を決める重要の要素となる。

建築工事標準仕様書JASS5(鉄筋コンクリート工事2003年度版)によれば、一般的に用いられるコンクリートの圧縮強度を表す用語は4種類もある。

きれいな仕上がり5.JPG

①呼び強度
文字通りコンクリートを注文する際に指定する強度。これが一義的に水セメント比に換算される。
つまり、「27Nのコンクリートくれ」と言ったら、工場はこれに見合う水セメント比のコンクリートを作ってもってくる。

②設計基準強度(Fc)
建物の構造的強度(耐震性など)を決定する強度。
つまりFc値は設計プロセス上の数値であって、実際のコンクリートの強度とは異なる。

③耐久設計基準強度(Fd)
Fcとは全く別の観点で、構造体コンクリートの耐久性(すなわちひび割れの抑制度合い)を決める数値。
これを「強度」と呼ぶことが誤解を招く原因でもある。
コンクリートの耐久性は水セメント比の影響が大きい。
呼び強度の欄にも書いたとおり、強度と水セメント比は一義的に決まるために、便宜上、耐久性と強度を関連付けている。
Fd値も設計プロセス上の数値であって、実際のコンクリートの強度とは異なる。

④品質基準強度(Fq)
別々の観点で「基準」となる強度がFcもしくはFdのいずれか大きいほうで決まる。
これに、施工ばらつき補正が加わって品質基準強度Fqとなる。

さらに打設時期によって決まる温度補正を加えたものが「呼び強度」となる。

設計者はもとより施工技術者においても、この4種類のコンクリート強度を理解していないといけない。

温度補正や施工ばらつき補正の考え方については次の機会に。

 

森本 尚孝


  • 2010年7月30日


既存不適格建築物は適法

建築当時、建築基準法又はこれに基づく命令や条例の規定等に適合した建築物が、ある時法律が改正されその建築物の全体又は一部が適合しなくなる場合がある。このような建築物を法律用語で「既存不適格建築物」という。


ちなみに構造関係の改正履歴は下記の通りである。

1950年(昭和25年)建築基準法制定

建築基準法施行令に構造基準が定められ、許容応力度設計が導入された。

1971年(昭和46年)建築基準法施行令改正

1968年の十勝沖地震を教訓に、鉄筋コンクリート造の柱のせん断補強筋規定が強化された。

1981年(昭和56年)建築基準法施行令大改正 新耐震設計基準

1978年(昭和53年)の宮城県沖地震後、耐震設計法が抜本的に見直され耐震設計基準が大幅に改正され、現在の新耐震設計基準が誕生した。
この、新耐震設計基準による建物は、阪神大震災においても被害は少なかったとされている。
これを境に、「1981年昭和56年以前の耐震基準の建物」や「1981年昭和56年以降の新耐震基準による建物」といった表現がされるようになる。

2000年(平成12年)建築基準法及び同施行令改正

性能規定の概念が導入され、構造計算法として従来の許容応力度等計算に加え、限界耐力計算法が認められた

2007年(平成19年)建築基準法及び同施行令改正

耐震偽装問題をうけての法改正。罰則が強化され、専門家による構造計算の審査(ピアチェック)が導入された。

 

「既存不適格」という言葉からはいかにも法に適していないようなイメージを受けるが、増改築等が行われない限り不適合のまま存在することが建築基準法により許容されている。つまり、「既存不適格建築物」の存在は「適法」なのである。

 

谷 直人


  • 2010年7月15日


アーケードと建築

近鉄奈良駅を出て賑わいのある東向商店街という名前のアーケード街を南に向かって歩いていった。
いわゆる全蓋式アーケードが設置されている。突然の雨だったので重宝した。

アーケード街の出口付近で、他の店と趣の違う景色が西側に現れた。
南都銀行本店である。
商店街の南端に位置し、その東側にアーケードが付置されているという格好になる。

写真 2.jpg

アーケード街を出て南側にまわるとようやく建物の全容が明らかになる。
イオニア式の列柱が重厚さをかもしだすこの建築は1926年に建てられたものだという。
当然アーケードの施工はその後のことであろう。

写真 4.jpg

 Dsc_8457_m.jpg

ここで思ったのである。アーケードをこの建物の北端で止めるという選択肢はなかったものか。
当然、銀行の東向い側の店舗の事情もあるから、南都銀行の意向だけでは決まらないが。

銀行は店舗でもあるから、入口にアーケードがあるほうが利用客の利便性は増す。
しかしアーケードが邪魔で、古都奈良には珍しい洋式建築の全容は見えない。
この場合、正面である南側や西側は上まで見渡せるので問題は少ないが、あくまで東側は見えない。

アーケードと建築との関係性を考えさせられる。

森本 尚孝


  • 2010年6月 8日


構造形式と耐震性について

「三匹の子ブタと建築構造」を受けて構造形式と耐震性について述べる。
構造設計において考慮すべき荷重には、常時荷重(自重+積載荷重)・地震荷重・風荷重・積雪荷重などがある。地震大国であるわが国においては、この中でも地震荷重が構造計画を大きく支配する。
常時荷重・積雪荷重が鉛直方向(下向き)に作用する荷重であることに対して、地震荷重・風荷重は水平方向(左→右、右→左)に作用する荷重である。

ここで各構造形式の特徴を考える。組積造とは石やレンガを積上げた構造であり、各部材は圧縮力に対しては大きな抵抗力を有するが、引張力に対してはほとんど抵抗力がない。他方、鉄筋コンクリート造や鉄骨造や木造は圧縮力・引張力両方に対して大きな抵抗力を有する。ブロック造はこの中間的な位置づけである。

組積造の写真2.jpg
南フランス「ポンデュガール」

以上より、常時荷重が支配的な地域(つまり地震がほとんど起こらない地域)では、すべての部材に圧縮力のみが働くように設計することにより組積造が成立する。逆に地震荷重が支配的な地域では、左から右・右から左と方向を変えて地震荷重が作用するので、部材は圧縮力・引張力両方に対して抵抗する必要がある。これが地震大国であるわが国では組積造が成立しにくい所以である。

設計において地震荷重を考慮しなければならないということは、意匠上・構造上大きな制約となっているのは事実である。構造エンジニアは、地震という自然の大敵と戦いながら様々な要求事項に答えていくという使命を負っている。

谷 直人

  • 2010年5月18日