建築物のカーボンフットプリント
かなり以前から工場生産される食品の含有成分表示は有ったと思うが、近年カロリーオフなる言葉が幅を利かせるようになり、色々の食品のラベルに◎◎◎kcalが、表示されている。コーラなどの飲料に至っては、カロリー量の違いによるラインナップまで登場する始末だ。
これまで糖尿系の人は甘いものを自身で控えていたものだが、今ではそういう人向けの甘味料まで有る。ことほど左様に、消費者が自身の健康に関心を持ちながら嗜好を追求しており、生産者がそれに応えている証しだ。
昨今、消費者は自身の健康のみならず地球の健康、即ち環境問題に大きな関心を寄せている。
その一例がエコカーの普及であり、その代表格がT社のPとH社のIであう。(左図) 今までこの両車を消費者が環境の面で比較する方法は、いわゆる燃費しか無かった。しかし現在、製造+販売+運用(同一条件の使用)+廃棄に至るまでに排出されるCO2の総量を数値表示する事で比較する方法が採用されようとしている。
※余談:この両車、使ってこその環境対策車であって、飾っておくだけでは電池の製造に関するCO2の排出量が突出している為に、在来車に比べ総排出量は多い!!
このCO2総排出量をその商品に記載する事をカーボンフットプリント(CFP)と言う。
当然、環境に関心のある消費者は排出量の少ない商品を選択する事になり、環境に対しての◎◎◎kcal 表示と同じような効果が期待できる。
建築業界においても、同様の思想は有るのだが、算定方法が確立されていない上、建設工法、構造、使用資材が複雑に絡み合い、又竣工から解体までの使用形態、期間によって大きく左右されるので、一定基準の基に数値化するのは、困難を極めているのが現状だ。
しかし、長期間の使用に耐えれば、それだけ建設時の排出量が使用年数に按分平準化され軽減されていく事は明白である。その意味からすれば、あの巨大なピラミッドや万里の長城などはCFPの表示が有れば、非常にエコな建造物だと実証出来るかもしれない。
おそらく近い将来、建築業界にもそのような波が襲って来るであろう事は、世界の環境への取組み姿勢からみて容易に想像がつく。
川 端 康 司
- 2010年6月11日
工事中にゼネコンが倒産したら・・・

車で通りがかりに撮った写真なのでうまく映っていないが、躯体工事中なのに外部足場がなく、次のフロアの躯体工事の様子がむき出しになっている。
場所は中国やベトナムではなく日本である。
したがって、この工事現場は普通の状態ではない。
考えられる仮説は次の通りである。
「躯体工事中に工事を請け負っていたゼネコンが倒産した。工事請負契約やゼネコンの法的処理手続きの中で、外部足場が工事現場から撤収されたが、次のフロアの鉄筋や型枠材はそのまま現場に残されている。」
三和建設では、これまで工事中に他のゼネコンが倒産した仕掛り工事を承継して請け負い完成させて施主に引き渡した実績がいくつかある。
発注したゼネコンが工事の途中で倒産した経験をした施主は多くない。当然のことであろう。そうそうあっては困ることだからだ。
そもそも倒産しないゼネコンに発注しないことが一番だが、それでも万一このような不測の事態が生じた場合は対応が大変難しい。
施主の立場においては、すでに支払っている工事代金や仕掛かり工事(半製品)の権利関係を法的に整理して解決していくことが求められ、当然弁護士に相談して事を進めるべきであろう。
ここでは、新たに他のゼネコンが工事を承継する場合のポイントを説明する。
ここでAという工事の途中にBというゼネコンが倒産して、新たにCというゼネコンがこの工事を承継することになったとしよう。
BがA工事の途中まで実施した出来形部分(仕掛かり工事)を「本件建前」、A工事完成のためにCが新たに請け負う工事を「本件新工事」と呼ぶことにする。
本件新工事が、C社と施主との新たな工事請負契約となり、その契約書に盛り込む内容を決める際に問題なるのが主に次のような点である。
①本件建前の出来高の評価
②本件建前の出来形および出来栄え(見える品質)評価
③本件建前の瑕疵(隠れたる品質上の問題)の責任
④本件建前の瑕疵(隠れたる品質上の問題)に起因する本件新工事の品質などに対する責任
⑤本件新工事へのプロセス(打合せ実績や現場に納品されていない発注済製品)に対する評価
⑥本件建前に伴う仮設資機材の権利
課題はこれ以外にもいろいろある。
個別の内容に関してここで詳述することは避けるが、いずれにしても、本件新工事を承継するのはこういうことに慣れたゼネコンでないと後々に新たな問題を引き起こすことになる。
森本 尚孝
- 2010年5月31日
「エコ」って何~~~に?
まず、語源だが"Ecology(エコロジー)"あるいは"Economy(エコノミー)"を略しての「エコ」だろうと言われているが今一明確ではない。もちろん日本独自の言い回しで欧米ではこのような曖昧な表現は決してない。(イスラム諸国では「アラーの思し召し」で有りうるかも?おっと失礼!)
上記の例から見ると、環境にやさしいのでポイントが貰えるのだから"Ecology"、でもポイントで得をするから"Economy"・・・?最初に略した人がハッキリさせないからこんな事態に。
もう良く判らないから話を前に進める。まずは判りやすいEconomy言わずと知れた「経済」平たく言えばお金に関すること。従って得をする事だけが「エコ」ではないが、人間誰しも損をする事は嫌悪感があるので無視することにしよう。
次がEcology、これが又厄介で英英辞典によれば"Study of the relationship between living organisms and their environment" 直訳すると「生命活動とそれを取り巻く環境との関係を学問する」単語的には生態学となる。生態学とハイブリットカーはいったいどのような関係にあるのか?頭が混乱する。
しかし、快適な生命活動を維持するには、快適な環境が不可欠であることは察しが付く。そんな所から快適な環境の維持・反環境破壊を総じてEcologyすなわち環境にやさしい事、しいてはエネルギー消費が少ないことがエコロジー⇒「エコ」であろうと推察できる。省エネも「エコ」の一つではあるが、もっと大きな意味で使われることが多い。
人類は「火」の発見以来、地球を加工し環境破壊を推進することで発展してきた。それは産業革命後、加速度的である。しかし、その人類は今、史上初めて温室効果ガス(主にはCo2二酸化炭素)の削減に取り組もうとしている。これがすなわち「エコ」が各所・各分野で取り上げられる理由だ。反「エコ」・環境破壊は反社会行為と言うに留まらず、人類滅亡への一里塚なのだ。
※家庭で出来る「エコ」を紹介するので<右クリック⇒新しいウィンドウで開く>☞ 表示
昨今、建設業界もご他聞に漏れず、<環境にやさしい>がキーワードになっており建設副産物・残材の再利用(三和建設の提唱する「材クル」)や建設系産業廃棄物の削減はもとより、建築物の断熱性の向上やエネルギー消費量の大幅削減などに業界上げて取り組んでいる。
又、本年3月からは住宅系建築物それ自体の「エコ」への貢献度に応じて国の補助としてポイントが付く制度が導入された。これが住宅版エコポイント制度である。有限財源・時限立法であるので無制限に利用できるわけではないが、三和建設においても新築・リフォームを問わず、あらゆる相談に応じているので一度門を叩いて見てはどうだろうか。下記のサイトのパンフレットだけでは判り難い事も、説明させていただく。まずはご連絡を!!
最後に、三和建設では環境ソリューション部門を立ち上げ現在各方面について、近い将来皆様に斬新な「エコ」が提案できるよう研究中である。事業化の折には改めて紹介させて頂くので乞うご期待を!!
川 端 康 司
- 2010年4月11日
ついに完成! 全国で初めて誕生した長期優良住宅マンション
三和建設の設計施工による「ルネス緑ヶ丘テラス」が、長期優良住宅の認定を受けたマンションとしては全国で初めて大阪府豊中市に完成し、3月10日に竣工式が行われた。
今回のプロジェクトに対し深いご理解と多大なるご協力を頂戴した御施主様からも、三和建設の企業姿勢に対して改めてお褒めの言葉を頂いた。
本建物は、平成21年度第1回長期優良住宅先導的モデル事業にも採択された。去る3月4日から7日にかけては完成見学会を開催し、国土交通省や学識経験者を含め多くの方にご来場いただき、過分なるご評価も頂戴した。
長期優良住宅がマンション分野でなかなか普及しないことはすでに述べた。三和建設の賃貸マンション提案"エス・アイ200"では、賃貸マンションこそ長期優良住宅の考え方をとりいれるべきだとしている。
今回の実績が、長期優良住宅マンションの普及の足がかりになればと願って止まない。
森本 尚孝
- 2010年3月12日
住宅エコポイントマンション
住宅エコポイントの申請が来週より開始される。ポイント 交換対象商品も発表された。
住宅エコポイント制度とは地球温暖化対策の推進及び経済の活性化を図ることを目的として、エコ住宅を新築された方やエコリフォームをされた方に対して一定のポイントを発行し、これを使って様々な商品との交換や追加工事の費用に充当することができる制度のことだ。
新築される戸建住宅やマンションなども対象になる。
住宅エコポイント基準を満たすには省エネ法のトップランナー基準相当の住宅でなければならない。具体的には
省エネ判断基準を満たす外壁、窓等を有する住宅(ハード)ににエコ給湯設備や省エネタイプのエアコン(設備)を備えたりすることになる。
ポイントの申請には、上記基準に相当することについて登録住宅性能評価機関などの第三者機関による証明を受ける必要があり、
RCマンションの場合、大雑把に言うと住宅性能表示 4等級相当の断熱性能相当を備えたハードに上記エコ設備を備え基準をクリアすることになる。
この、住宅性能表示 4等級という基準は、国土交通省のすすめる長期優良住宅の認定基準のうち省エネルギー性を満たすための目安ともなっている。
三和建設株式会社は長期優良住宅先導的モデル事業に採択された賃貸マンションを全国で初めて完成させた建設会社である。
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住宅エコポイントは新築の場合、戸当り30万ポイントが付与される。
RC賃貸マンションなどの集合住宅で総戸数12戸の場合、300,000ポイント×12戸=3,600,000ポイントが基準をクリアし申請すれば付与され、ポイントは上記のとおり追加工事の費用にも充当できるので入居者満足を更に向上させる為の追加工事費用に充当することも可能だ。
これから賃貸マンションの建設を考えるオーナーにとってエコ賃貸マンションを建設することの価値は
地球環境にやさしいマンションを供給することに加えて、
光熱費負担を抑えことができる入居者のお財布にもやさしいマンションにであるということである。
光熱費負担の少ないエコ賃貸マンションは入居者に選ばれるマンションの基準の一つになるのだろう。
森本行則
- 2010年3月 5日
ニューヨーク大停電と太陽光発電
原因はシステムダウンといわれているが、詳細は未だに公表されていないようだ。
一般家庭での容量オーバーによるブレーカー遮断の停電と考えれば判り易いかもしれない。世界一級のメトロポリスで明かりは蝋燭と言うのも貴重な経験でもあった。
概略はモジュール面積200㎡弱、最大出力約25Kwの設備だ。
単純計算でも約45,000ヶ所分で東京電力品川火力発電所一箇所 分、一般的な沸騰水型軽水炉原発1基に相当する。
発電コストは2~5倍掛かるし製作時にはそれなりのエネルギーも必要だが、45,000が多いか少ないか は別にしても、それだけあれば少なくとも火力発電所一ヶ所分の温室効果ガスの排出が削減できることも事実だ。
特に、真夏の炎天下にピークを迎えるのは、電力供給量と太陽光発電量ともほぼ同時と考えてよい。コストパーフォーマンスからのみ論じるのではなく、エコロジーへの一つのアイテムと捉えるべきであろう。
三和建設においては、上記の太陽光発電設備のみならず、壁面緑化・屋上緑化・各種断熱工法など、環境に配慮した建築にも取り組んでいる。
中でもエス・アイ200(長期優良住宅)はその包括的システムの代表だ。又、昨今話題の住宅版エコポイント制度についても気軽にお問い合わせ願おう。
川 端 康 司
- 2010年2月22日
長期優良住宅マンション
長期優良住宅によるマンションについての議論を続けよう。
↓12月4日の某全国紙の朝刊に記事が出ていた。
記事の見出しは「長寿マンションまだ5棟」である。
「三和建設」の名前も含め、長期優良住宅マンションに関する議論が全国紙レベルで展開されることは大変好ましい。
記事の内容も、すでに各方面で指摘されていることがほとんどで、われわれの認識や想定の範囲を超えるものではなかったが、「まだ5棟」、「相場より2割高」、「業者側は二の足」など、ネガティブな表現が前面に出ていることが普及を妨げることにならないよう祈りたい。
特に「相場より2割高」という表現を見れば、「確かにいいものかもしれないが、めちゃくちゃ高い」という理解が広がりかねない。
もっとも、2割高くなるというのは、記事に掲載されている分譲マンションの再販価格のことであって建設コストそのものではない。
三和建設の実績に基づく試算によれば、マンションを長期優良住宅認定基準に適合させるためにアップするコストは多く見積もっても2割まではいかない。
ではいくらなのかということになるが、それは次回以降の講釈で。
森本 尚孝
- 2009年12月24日
イメージを現実にすること
打合せに連立って行くため関係者と渋谷駅の南口で待ち合わせた。
南口なので「モヤイ像」前で待ち合わせることにしていたので、行ってみるとなんだか様子がおかしい。
警備員が立っており、立ち入り禁止のテープが張られたエリアがあった。
数名が携帯などのカメラでその様子を撮っていた。「事件でもあったのか?」
そんな状況なのに物々しい雰囲気は無く、逆にさっぱりした空間。
カメラで撮影している人には深刻な表情はなく、驚きはあるが笑みもある。
「モヤイ像が無い!」
LUPIN STEAL JAPAN PROJECTと書かれた犯行声明が残されていた。
「な~んだ、ルパンが盗んだのか。。。」と納得していると、待ち合わせていた相手が来られた。
当然、話題はこの話。「これじゃ待ち合わせ出来ないなルパンには参ったね。」と笑いながらのやりとり。
気になったので後に調べてみると、「犯行」は、日本テレビなど6社が協賛する「LUPIN STEAL JAPAN PROJECT」によるもの。
記事曰く 「ルパン三世というコンテンツや世界観を活用し、不況など暗いニュースが目立つ日本に、愉快・痛快な話題を提供して活力を与えよう」と発足したとのこと。
実際、偶然にもそれを見た私たちも「ルパン」というキーワードで世界観を共有していた。
盗んで欲しいものを公式サイトhttp://steal-japan.jp/に書きこみ依頼することができるようになっており、ICPOの銭型警部はマスコミ各社に捜査協力の要請文を発行するなど凝った取り組みでいっぱいだ。
イメージや世界観を現実化させることについては、我々建設も同じこと。現実化させる上で困難なことにも多く遭遇する。モヤイ像も盗む際にはクレーンなどを使ったかなり大がかりな作業になったという。
盗みは良くないが、このような仮想現実を現実化させる取り組みには大いに共感できる。
森本 行則
- 2009年12月 8日
自然の猛威と建築物
古来、大多数の建築物は、人の生命と財産を「自然の猛威」から守るために造られてきたといって過言ではない。身近には皆さんの住まいも公園のダンボールハウス(DH)も雨風や寒さから身体や家財を守ることが大部分の目的である。
しかし、その建築技術の進歩は、「自然の猛威」への敗北の歴史でもある。前述のDHで漫画チックに考えてみると(DHが建築物かどうかは、「建築物とは」のブログを参照)
① 野宿は寒いのでダンボールで六面を囲ってDH完成⇒寒風を防ぎすこぶる快適
② 雨が降ってきてずぶ濡れで壊れる⇒新築のDHにブルーシートを掛けて雨対策は完璧
③ 台風に襲われ全財産が吹っ飛ぶ⇒拾い集めた木材で丈夫な骨組を造り台風なんてヘッチャラ
④ 地震が起こり倒壊、下敷きになり大怪我⇒今度はやはりエス・アイ200で造ろう・・・・・・・・・?
(右:サウジアラビアの洪水)
日本では怖い物の代表に「地震・雷・火事・親父(おっと失礼台風)」が挙げられているが、雷は避雷針の進歩、火事は耐火建材・構造の発達により延焼は少なくなり、台風による一次的被害もあまり発生しなくなってきている。従って、日本の建築物にとって地震が最大の脅威であろう。
(左:関東大震災時の東京銀座)
最新の基準強化後に新築が計画された建築物は、当然全てこの基準を満たしている。そして数々の新しい技術が考案され、建築物の地震対策は各段に進歩している。しかし、これとて法基準や設計思想の想定以上の地震が起こらない保証が無いことは、DHの例を引くまでも無い。
それこそが「自然の猛威」だ。
建築物の地震対策には大きく分けて三つの考え方があるが、混同されたりしていることがあるのでオサライしておく。それは「耐震構造」「免震構造」「制振構造」で、三種まとめて地震に耐えるという意味から<耐震>という場合も少なからず有るので注意を要する。簡単に違いを述べるが、詳細については様々なホームページが有るので参照いただきたい。
「耐震構造」⇒地震に耐える丈夫な(柔軟な)構造 {家は無事でも人や家財に被害がある事も?}
「免震構造」⇒揺れを建物に伝えにくくする構造 {度が過ぎると地震が無くても船酔いする事も?}
「制振構造」⇒伝わった揺れのエネルギーを吸収する構造 {詳細な解析と高い技術を要する}
三和建設においては、既存の建築物が最新の耐震基準に照らし合わせて如何様な状況にあるのかを調査診断(耐震診断)し、不足があれば適切な補強の提案や施工(耐震補強)を行っている。これは、前述のとおり完璧とはいえないまでも、少なくとも建築物が倒壊しその下敷きで一命を落とすことは高い確率で防げるはずである。又、免震構造の建築物の施工実績もあり新築案件においても地震被害の激減に取り組んでいる。
「自然の猛威」は取り除くことは出来ないが、それを許容できる建築物の提供をお約束できる三和建設へ先ずはご相談を。
川 端 康 司
- 2009年12月 7日
建設会社の二大派閥
建設会社には会社の大小を問わず大きな派閥が二つある。社長派と専務派いった人的なものではなく、保守派と革新派といった思想的なものでもない。それは「土木Vs建築」という技術集団である。まあこの二派閥は例外なく仲が悪く、ライバル心というより敵愾心といったほうがふさわしい関係だ。
なぜそうなのか?又そもそもその違いは何か?について考えてみたい。
言葉としての「土木」・「建築」は明治時代に外来語を日本語に当て嵌めた時に出来たもので字面から内容を推測することは意味を成さない。それ以前は「普請」といわれ今のように区別は無かった。(現在では城や屋敷を造るのは「建築」、治水や橋を造るのは「土木」となるが、明治以前は全て「普請」である。今の言葉で近いのは「建設」といったところだろうか)
元の外来語で考えて見ると、ご存知のとおり"Civil engineering"を訳した言葉が「土木」で直訳すれば「民生技術(軍事技術の反語)」とでもなる。「建築」は"Architecture"で同じく「建造物(Building)の構築や設計に係る芸術又は科学」だ。従って、"Civil engineering"の一分野が"Architecture"であって決して対立する物ではない。ちなみに諸外国では日本で取り扱っている建築の技術部門や環境・都市計画に関する部門も「土木」として扱われており、日本のいわゆる「土木」とは必ずしもイコールではない。余談だが、そんなこんなからか昨今、大学等の学科名から「土木」の名前が消えつつあるようで、その卒業生としていささか寂しい限りだ。
では、なぜこの派閥が対立する事と成ったかであるが、ここからは推論となるので真偽のほどと、私は「土木」技術者の端くれであるのでやや偏重することはご容赦願う。
本題に戻すと、そこにはやはり日本独特の官僚行政の顔が垣間見える。旧建設省(以下建設省と言う、関連特殊法人も含む)の行う建設事業の大半が土木工事で、「土木」=「官公庁発注」=「建設省・一部地方自治体」ともいえる。「おいおい、建設省もたくさんの建築工事を行っているぞ」との声も聞こえるが、それは建設省で行う以外省庁間の調整が付かないもの、他官庁からの委託がほとんどだ。
更に言えば各省庁には自部署の管轄する建築物を建設管理する部署が必ずある。(学校・芸術文化施設は文部科学省、病院・福祉施設は厚生労働省、税務署は財務省、裁判所施設は最高裁判所、それぞれの職員宿舎等々)逆を言えば建設省以外にダムやトンネルや橋を造る部署は無い。又民間で斯様な物を造る事もそう多くは無い。
従って「官庁Vs民間」・「建設省Vs他官庁」が「土木Vs建築」へ波及していると強引に結論付ける。
三和建設は、現在建築工事を主体に施工している建設会社であるが、土木技術者も数名在籍しており大規模な地下工事や敷地造成・開発などにその技術を発揮しより幅広い多種多様な建築物の建設に寄与している。
又、建築工事主体であるからといって決して国土交通省(建設省)と相反するのではなく長期優良住宅「エス・アイ200」などは、国策として同省が推し進めている事業に沿った最先端コンテンツである。
そんなことから三和建設では、「土木Vs建築」は存在しないと言うより「土木&建築」で建築主の皆様のご期待に添える技術集団であると確信している。
川端康司
- 2009年11月27日
