構造形式と耐震性について
「三匹の子ブタと建築構造」を受けて構造形式と耐震性について述べる。
構造設計において考慮すべき荷重には、常時荷重(自重+積載荷重)・地震荷重・風荷重・積雪荷重などがある。地震大国であるわが国においては、この中でも地震荷重が構造計画を大きく支配する。
常時荷重・積雪荷重が鉛直方向(下向き)に作用する荷重であることに対して、地震荷重・風荷重は水平方向(左→右、右→左)に作用する荷重である。
ここで各構造形式の特徴を考える。組積造とは石やレンガを積上げた構造であり、各部材は圧縮力に対しては大きな抵抗力を有するが、引張力に対してはほとんど抵抗力がない。他方、鉄筋コンクリート造や鉄骨造や木造は圧縮力・引張力両方に対して大きな抵抗力を有する。ブロック造はこの中間的な位置づけである。
南フランス「ポンデュガール」
以上より、常時荷重が支配的な地域(つまり地震がほとんど起こらない地域)では、すべての部材に圧縮力のみが働くように設計することにより組積造が成立する。逆に地震荷重が支配的な地域では、左から右・右から左と方向を変えて地震荷重が作用するので、部材は圧縮力・引張力両方に対して抵抗する必要がある。これが地震大国であるわが国では組積造が成立しにくい所以である。
設計において地震荷重を考慮しなければならないということは、意匠上・構造上大きな制約となっているのは事実である。構造エンジニアは、地震という自然の大敵と戦いながら様々な要求事項に答えていくという使命を負っている。
谷 直人
- 2010年5月18日