建物の圧密沈下について
建物が沈下する場合、下記のような原因が考えられる。
1) 地下資源の採取
2) 地下水の過剰な揚水
3) 埋立て地盤の圧縮
4) 地盤の掘削による地盤変位
5) 直接基礎の即時沈下
6) 直接基礎の圧密沈下
1)~4)の原因による場合は、比較的広い範囲の地域に地盤沈下が生じる。5)および6)の原因による場合は、個々の建物または隣接する建物といった部分的な範囲に地盤沈下が生じる。ここでは個々の建物を計画する際に注意すべき5)および6)、とりわけ長期に渡って沈下が進行する6)の圧密沈下について取り上げたい。
即時沈下とは、建物重量が地盤に加わるのとほぼ同時に生じる沈下であり、力を加えるとバネが縮むようなイメージである。一方、圧密沈下とは、軟弱な粘土層中の水分が長時間に渡って絞り出されることにより沈下する現象である。
圧密沈下の特徴は、数年、場合によっては10年以上沈下が進行し続け、総沈下量が数十センチにもおよぶケースがあるということである。不等沈下も伴う場合は、耐震性などの安全面でも建物の使用面でも深刻な問題が生じる。
では、どのような条件の地盤で問題となる圧密沈下が生じるのか?計画地もしくはその付近の土質柱状図をチェックして、①そこそこの層厚(2~3m以上)の粘土層があり、②その粘土層のN値が0~3程度と小さく、③その粘土層が地下水位以下にある場合は要注意である。このようなケースでは、地質調査の項目の中に「圧密試験」を追加して机上でしっかりと検討し、適切な基礎工法を選択することが肝要である。
しかしながら、小規模建物でかつ地盤に関するデータが不十分である、または設計者自身の技術不足などの理由により不適切な基礎形式が選択されることもありうる(確認申請で審査されるとは限らない)。
建物を継続的に使用している状態で日々沈下が進行することは、入居者・オーナーにとっては大変不安に感じることである。また、経済的にも大変な損失を被りかねない。
設計者自身は言うまでもないが、建築依頼主にとっても圧密沈下に対する知識は身につけておいて損はない知識である。
谷 直人
- 2010年3月24日