長期優良住宅は、なぜ共同住宅で普及しないのか?

「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づく長期優良住宅建築等計画の認定制度が、平成21年6月4日より運用開始されている。
国土交通省による10月15日付発表によると、運用開始から9月末までに認定を受けた計画は、全部で17,404戸あるという。

その内訳は、一戸建住宅が17,148戸、共同住宅等が256戸となっており、共同住宅の実績が圧倒的に少ない。
共同住宅分野で長期優良住宅が普及しないことは、新聞報道などでも話題にとりあげられており、その理由もいくつか指摘されている。

私見ではあるが、普及しない理由をあげてみる。

①耐震性
30年間と200年間では巨大地震に遭遇する確率が異なるため、当然高い耐震性能が求められる。
基準では耐震等級2もしくは3が要求される。ちなみに建築基準法で定められる耐震基準は等級1であるのに対して、対抗すべき地震力が、等級2においてはその1.25倍、等級3においてはその1.5倍となる。
一戸建では比較的確保しやすいスペックだが、マンションにおいてはハードルが高く、コストアップ要因となる。

②省エネルギー対策
基準では等級4が要求される。200年間建つ以上、環境負荷の低減が求められるべきとの考えによる。これも大変だ。断熱材の厚みだけでなく、細部の納まりにおいて特段の配慮が求められ、コストアップにつながる。

③維持管理・更新の容易性
長期にわたって使うのだから、設備配管の維持管理や取り換えが容易になるような特別の工夫が求められている。
共同住宅の設備配管は、各住戸内に配備される専用配管とそれらを集約して公共インフラに接続する共用配管から成り、当然のことながら一戸建に比べるとその配置経路は長大で複雑となり、大きなコストアップにつながる。

そのほか、高齢者への対応や一住戸あたりの最低面積も定められていることもあり、共同住宅は一戸建よりもイニシャルコストへの負荷が非常に大きい。

つまり、共同住宅に長期優良住宅を適用させるためには、建築主にとって一戸建とは異なるメリットを与える必要があるのだ

三和建設の"エス・アイ200"は、共同住宅とくに賃貸マンションならではの特性と長期優良住宅の優位性をうまくかみあわせることで、建築主に新たなメリットが生まれることを提案し、平成21年度長期優良住宅先導的モデル事業に採択され、同年8月に長期優良住宅の認定も受けた。
現在、大阪府豊中市で建設中、2010年3月の完成を目指している。

森本 尚孝


  • 2009年10月26日