お客様の呼び名

建設会社が工事を請け負うときに、お客様にあたる存在のことをどのように呼ぶか?
実はいろいろな呼び方がある。
基本的には、それぞれ同じような意味を表すが、微妙にニュアンスも異なる。
私見ながら、その使い分けについて記述する。

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■施主
一般的には「施主」という言葉がよく使われる。
施主とは、一言でいえば「お金を出す人」である。
建物を建てる時も、その費用を出すのは当然お施主様である。
「大阪城を建てたのは豊臣秀吉」というときの、秀吉は施主にあたる。
墨俣城も秀吉が建てたが、城のオーナーは信長だから、この場合の秀吉は施主というより施工者として位置づけが強い。
ある公共団体の担当者が自らのことを施主と称していたが、その工事の財源は税金であるため、「施主」というのには違和感を覚えた記憶がある。
この場合の公共団体の立場は、発注者もしくは注文者というのが正しいだろう。
 
■建築主
建築基準法に出てくる用語である。
同法第2条16項に、
「建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。」
とある。
設計事務所が好んで使う言葉である。
ほとんどの場合、施主と同じ存在を指すが、「確認申請上の建築主」というケースがありうるため、建物の本当のオーナーではない場合もある。
 
■事業主
工事を事業と考えれば、事業主という言葉もありうる。
分譲マンションや転売を前提としている商業施設の建設工事では、最終的にお金を出すエンドユーザーは工事請負契約に登場しない。事業主が完成させた建物を買うことになる。
 
■発注者(注文者)
一般的な工事請負契約書に登場する用語は発注者という言葉である。
民法上の「注文者」にあたる。
ただし、建設工事は多重請負方式で行われることが多いため、同じ工事で請負契約が複数登場することになり、発注者も一人ではない。
施主と元請ゼネコンとの請負契約における発注者は施主になる。
元請ゼネコンと一次下請協力会社との請負契約における発注者は一次下請協力会社になる。
このため、建築基準法における建築主の定義は必ずしも正確ではないことになる。
施主のことをさす場合は、「原発注者」という言葉が使われることもある。
 
いずれにしても、建設会社にとっては「お客様」には変わりはないのだが。
 
森本 尚孝


  • 2009年9月14日