設計施工2
設計施工の是非に関する議論を続けよう。
一般に、設計施工一貫と設計施工分離それぞれのメリットは次のようなものだ。
当然、一方のメリットの裏返しが、他方のデメリットとなる。
◆設計施工一貫のメリット
1.設計着手から工事完成までが早い。
2.設計上の瑕疵を請負者が施工瑕疵と一体で担保しやすい。
3.施工を考慮した設計によりコストダウンを図れる。
4.設計者としての自己主張より、施主の利益を優先する傾向にある。
◆設計施工分離のメリット
1.設計の質が工事金額によって左右されない。
2.完成した図面による入札、見積り合わせ等で工事費の削減ができる。
3.施工管理と独立した工事監理によって契約内容が保証される。
4.設計にあたっては、施工者の事情(施工しやすさなど)より施主の利益を優先する傾向にある。
状況にもよるが、三和建設では設計施工をすすめることが多い。
施主にとっての設計施工一貫における最大のメリットは、2の設計上の瑕疵についてだろう。
設計上のミスによって想定外の費用や損害が発生した場合に、それを誰が負担すべきかというもんだである。
わが国の建築設計は報酬が低いこともあって、施工するためのインプット情報として完全ではない。
施工図なるものが存在するのもその証である。
また、一部の大手事務所を除いて、設計者は個人もしくは小規模の組織によることが多く、その資本背景は必ずしも盤石ではない。
設計図の不備により施主が極端に不利益をこうむることがないよう、一般的な工事請負契約書では、設計図書に疑義あるときは施工者がこれを通知することとしている。
しかし、施工者でも発見できないような隠れた問題点や高度な不適合が竣工後に発覚して問題となったときはどうなるのか?
あるいは、施工中に発見できたとしても、その是正に余分にかかる費用は誰が負担するのか?
理屈的には設計者が負担しなければならないのだろうが、前述の通り設計者にその負担に応じることができるだけの資力がなければ、施主が負担するしかないことになる。
現実的には、このようなことが大問題となるケースはそれほど多くないが、施主にとっては考慮しなくてはならない課題ではある。
森本 尚孝
- 2009年8月28日