住まい手が生かす建物
半年ほど前に、当社で施工し竣工したRC造の邸宅
先日 そこでのバーベキューにお招きいただいた。
思えば数年前からご自宅新築のご計画をお聞きし、プランニングから関わらせていただいてきた。
オーナーはプランニングの際「新居では屋上を使えるようにしたい。そこでバーベキューなんかをすれば気持ちいいだろうな。夏には屋上から猪名川の花火大会もバッチリ見えると思うんだ。」と仰っておられた。
勿論、それらは設計に組み込まれ建物は完成した。
眺めや、通る風が大変気持ちのいい屋上のスペース。
数日前から天気予報とにらめっこするが、まだ梅雨明け前の関西地方。
残念ながら雨予報は同日まで覆ることはなかった。
当日は曇り。雨までは降らないかなぁといった空模様。
でも途中で降ってきてしまう可能性はゼロではないということで、1階のインナーガレージを会場にしようということになった。
バーベキューコンロはガレージ前のちょっとした庇の部分に据えられた。
ガレージは車を停める場所。私にはそれ以外の用途(バーベキュー会場にする)で使うことなど思いつかなかったが、オーナーは住みはじめた当初からその構想はあったらしい。
ガレージでのバーベキューはオーナーの思惑通り実に快適で、本当に楽しい一時だった。
屋根壁のある半屋内空間は適度に区画されているのでメンバーに一体感が生まれ会話がはずんだ。高密度コンクリートで施工した壁の適度にひんやりとした感じも清涼感を増した。
間口の広いシャッターが全開放され適度に屋外に居る雰囲気も味わえる。
この家の設計は荒谷省午さんによるものだが、荒谷さんは常々、"建築はただの器だ。その器を使う人、住宅であれば住まい手によってその器は生かされる。"と仰っている。
今回のガレージバーベキューは"想定外の使い方"な筈だ。
ところが全く違和感無く、使いこなされているわけだ。
あたかももともとそのつもりの設計であったかのように。
このオーナーは設計者の言葉以上に住宅を生かしておられる。
だから招かれた我々も大変居心地がいい。施工者にとってもこれほど嬉しいことは無い。
次回は、いよいよ"想定(期待)している使い方"の猪名川花火大会だ。
きっと期待以上の居心地になるはずだ。
なぜならオーナーに生かされ、愛されているこの建物が今度はオーナに恩返しをする番だから。
森本 行則
- 2009年7月27日